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● やっぱり君じゃなきゃ嫌! --- -9・ラスト- ●

ゆでたたこのように真っ赤になった顔をかかえ、穴があったら入りたい気分でいると、突然ドアがものすごい音を出す。
 葉月はモザイクガラスのその扉の向こうに人影を確認し、急いで鍵を開けにかかる。先生だと思ったんだ。こんなことしたら、さすがに怒られると思ったんだよ。
 けれど、開けたとたん、扉の隙間に足を挟んで、強引に進入してきたのは、嬉しそうに微笑む双葉で……。
「双葉……」
「聞いた。全部聞こえた」
「俺…っ」
葉月が何かしゃべろうとした瞬間、双葉は葉月を力いっぱい抱きしめたせいで、葉月は何もしゃべれなくなった。
 く、苦しい…。
 もがくように手足をばたつかせると、双葉はますます力を強くした。小学校、中学校、高校ってずっと運動部の双葉の筋力に俺がかなうはずないじゃ〜ん。
「く、苦しいってば!双葉っ」
限界を感じ、俺は双葉の背中を少々本気でなぐる。
 その瞬間、フワッと身体は軽くなり、今度は顔が急に近づいてくる。
「んんっ」
口をがっちりしめていたため、熱く火照った唇同士が触れ合うだけのキスになった。それはそれで十分、えっちなキスをたっぷり味わったことのある葉月の身体を暖めた。
 双葉の舌が、葉月の唇の周りを這いずり回るように舐めり、咄嗟にかためてしまった唇をやんわりと開かせていく。
「ん…ぁ…ふっ」
双葉の手が制服のワイシャツの中にゆっくりはいってきたのに驚いた瞬間、歯を少しだけ開いてしまい、その隙間に、双葉は性急にねっとりとした蜜いっぱいの舌を突っ込んでくる。
「ん〜っ!ぁん」
火照った舌が、さらに火照って動き回る舌に絡まれ、据われ、今まで出したことのないような声が体から漏れる。
「ん…双葉……っ」
歯列を数えられるように舌でなぞられて、身体がえびぞるように反応する。
 葉月の震える身体が、怯えるように、それでいて快感によがっているように反応するのが嬉しくて、双葉は、目をかたく閉ざしたままの葉月にはばれないように最高の笑みを振りまく。
 たぶん、いや、絶対一生……葉月にしかみせない…そんな笑顔を。
 これは俺のものだ…。そういう独占よくでいっぱいになる。
 そして、俺は葉月のもの。
 双葉はそれを誰かにも見せたくて、葉月の首筋に情欲の跡を残す。
 双葉が前よりずっときつくそこを吸い上げて、葉月はやっと今のこの現状に気付き、双葉の胸を無理やり自分から引離す。
「ふ、双葉っ」
だって、二人は今のいままでここがどこか忘れてたみたいだけど、ここは放送室で、しかも壁ひとつ向こうでは教師陣が朝の会議の真っ最中って時間なのだ。
 でも、放送を聞いていてもたってもいられなくなっている双葉は、ちょっとだけ気分を慨したようだ。
「なんだよ、葉月。もう言い逃れもできないぞ。俺たちは学校公認になったんだから」
白いそろった歯をきれいに見せて、双葉は嬉しそうに笑う。
 伝わってくれた…?
 俺の…双葉への思い…。
「でも、まさか葉月がこんな大胆な行動にでるとは思わなかったけどな」
「俺も…。これで明日から俺、きっと変な目で見られるんだよ〜…う〜」
葉月があまりにも肩を落とすものだから、双葉は葉月を優しく抱き包んだ。
「いいだろ、葉月には俺がいるんだから。なんなら教室誰かと変わってもらうか」
冗談とも、真剣ともとれない双葉の発言に、葉月は苦笑いする。
「へ、平気だよ。うん、たぶん。ほ、ほら、信吾もいるし」
何気なくそう言ったのに、双葉は葉月の手を掴んで、手の甲に口付をした。
 ほら、パーティの紳士みたいに。
「他の男を頼るな」
すごく低いトーンで、優しく、それでいて強く囁かれて、葉月の顔は真っ赤になる。
「…だ、だって信吾は親友だし」
「それでも男は男じゃないか。葉月…お前、どんなにいろんなやつの欲望の餌食にされてるか気付いてないな…?」
欲望の餌食…と聞いて、蜜葉のことが急に頭の中に浮かび、葉月は双葉から目をそらす。
「…わか…って…る……」
「いや、わかってない。葉月と同じクラスにいるだけで勃ってるやつとかもいるんじゃないか」
「わーー!な、何言ってるんだよっ」
いきなりなセクハラまがいな発言に、葉月は自分の手で耳を覆い隠す。
 葉月は男同士でも、こういった話しは苦手だったから、抵抗があるのだ。
「何言ってるって?本当の話だよ、決まってるだろ。葉月はこんなに可愛いんだから…」
「どんなに可愛くても…俺は男だよ?」
「知ってる。でも、性別をなくして人を見たとき…やっぱり葉月が一番なんだよ」
「…それでも俺は双葉のお兄ちゃんなんだよ」
「三つ子にお兄ちゃんも、弟もあるかよ」
双葉としては、長年、お兄ちゃんと弟って言う数秒の歳の差を恨んでいたから、ここでこんな話しはだしてほしくなかった。
 だって、もし俺が兄ならば、葉月をこんなに苦しめる要素の一つは削れたはずだから。長男な葉月は、昔の考え方が頭の中にあって、家のこととか、親のこととか、しょっちゅう気にしてただろう。
 たぶん、俺が告白した時も。
 それでも、常識よりも、親よりも…俺を選んでくれたんだよな?
「でも、兄弟だよ……?」
「でも愛してる」
双葉は葉月の小さく細い指を、アイスクリームでも舐めるように、ぴちゃぴちゃといやらしい音を出して、唾液でいっぱいにしてく。
「ん………っ」
「葉月は?」
 こんな状況で言えるかよっ!
 と思って、また閉ざしてしまった目を開けると…双葉が切なそうな顔をして見つめてた。不安なのは俺だけじゃないんだな…って悟って、俺は双葉の頬にキスをした。
 口にってのはやっぱり恥ずかしくてできなかったけど、双葉はそれだけで驚いてくれたみたい。
 いっつもかっこよく整ってる顔が、かたまちゃったもん。
「愛してる…双葉のこと」
「もう一回…言ってくれ」
双葉は葉月の胸に顔を埋めた。
 葉月はそれを大切な宝物を抱きしめるように、抱え、頭をぎゅっと抱きしめた。
「愛してる…大好き…好き…この気持ちが変って言われても、とめろって言われてもダメなくらいに…大好き」
あまりに熱い思いに、涙が出た。
 ああ、俺は本当に双葉のことが好きなんだ。
 大好きなんだ。
 だから、こんな行動にまででちゃったんだ。
 この世で一番最愛の人に出会うという、最高の瞬間を…二人は味わっていた。

 葉月が自分のはじめての恋する思いにいっぱい浸っていたのに、双葉はいきなり葉月の両腕を片手で葉月の頭の上にまとめ固定し、床に押し倒した。
「ごめん、葉月…俺我慢できない…」
「へ?え?ええっ」
了解をとるでもなく、双葉は葉月のワイシャツをボタンを器用に片手で外し、可愛い白い肌にあるピンク色の胸の突起をあらわにする。
「双葉っ、ここ…放送室…ガッコだよ…や、やめとこ…?」
葉月は小声でそれを止めさせるように優しく言う。
 けれど、それすら双葉の欲望に火をつけた。
「無理……葉月が欲しくて、欲しくて…理性がきかない」
「そんなぁっ…んんっ」
葉月の胸の突起を親指と人差し指で回しながら、そこを吸う。
 葉月は思わず大きな声を出しそうになって、歯を必死に食いしばる。
 けれど、そんな抵抗も、双葉のどこで覚えたのか最高のテクニックに、やんわりと崩されていく。
「ん…ぁ…や…嫌…」
モラリスト葉月には、学校内で犯られるのは、やっぱり抵抗があって、思いきり双葉を拒絶してしまう。
 嫌なわけじゃないのに…。双葉とのこういうこと…嫌ってわけじゃない。ただ、俺の中の性格はかんたんには壊れなくって…。
 震えながら涙を流す葉月に気付いた双葉は、葉月を拘束していた左手を外す。
「本気で嫌なら…俺を殴ってでも今すぐ出てけよ…じゃないと俺、葉月をここで抱く」
「……そんな…」
だってここで逃げたら、今日の放送だって無駄になるじゃないか。
 こんな選択あり?
 まったく……双葉にはかなわないよ。
 俺の何もかもを解き放って行っちゃうんだから。
「逃げなくていいのか?」
「逃げないよ」
俺が恥ずかしさで巧く笑えないけれど、とにかく笑顔を見せて上げたくて、苦笑すると、双葉はニヤリと怪しく微笑んだ。
 ま、まさか…これ作戦だったとか、いっちゃう?いっちゃう?
「双葉〜…?」
「恋人同士だもんな、どこでもエッチしたって構わないよな」
「………」
悪魔な双葉に、葉月はめまいを起こしそうになる。
 けれど、無言で肩を落した葉月の斜め上から、双葉は急に真面目な声をだす。
「拒まないでくれよ…俺を」
「…え?」
「俺は葉月をもう二度と無理やりなんてしたくない。葉月が俺を欲しいと思って欲しいんだ」
「……」
「俺が欲しい?」
だから、その顔は反則だってば…。
 ふだんジャガーみたいな感じなのに、急に子猫みたいに見えちゃうんだ。
 双葉を大好きな俺が、それに揺るがないわけないじゃないか。
 葉月は顔をこれでもかってほど赤くさせてコクンとちょっとだけ頷く。
「言葉で言って」
 な、なんだって〜!
 い、言えないって、さすがに…。ほ、欲しいなんて…。うわ〜思ってるだけで恥ずかしくなってきた。
 慌てふためきながら、戸惑っている葉月に双葉はもう一度命令口調で言う。
「言いなさい」
うう…。
 もう、絶対、絶対一度きりだからね!
「……双葉が…欲しい…」
言った瞬間、唇は再び双葉と同化した。
 溶けて、ひとつになって、なくなってしまいそうな二人の熱い唇を唾液が伝って、口の外に漏れていく。
 双葉はなんどもそれを手でぬぐいながら、角度を変えて、葉月の口内の性感帯をつく。
 葉月の舌を吸い上げて、絡めとって…。
 先端をチロリと舐めると、葉月は感じすぎて恐くなったのか、声を少しだけ漏らした。
「…葉月、愛してる…」
双葉のその囁きも耳に届かないくらい、葉月はキスだけでとろんとしていた。
 そんな葉月を覚醒するかのように、双葉の唾液で濡れた手が、葉月の胸を伝っていく。
「ふっ…あぁ」
そのあまりにいやらしい行為に、葉月は感情が昂ぶり、喘ぎ声を出してしまう。
 だって、自分と葉月の唾液が…自分の胸を刺激してるんだよ?
「んっ、ひゃ……ぁん」
葉月は身体を九の字にまげて、なんとか自分のおかしくなる身体を保とうとするが、双葉はそれをゆるさない。
 身体じゅうにキスをし、真っ赤な花びらのようなあとを残しながら、葉月の胸を両手の平で押しつぶすように転がしたり、先端を吸い上げたりして、葉月から声を絞り出そうとする。
「も…いい…いから」
葉月はあまりの気持ち良さにくるいそうになる理性に恐怖を感じ、懇願するが、それをねらっている双葉は葉月のベルトを性急にはずし、下着の中に手を押しこむ。
 急な侵入者にもわかるくらい、葉月のそこはひくひく勃ちあがっていた。
「あ、や、嫌…やだっ」
 葉月は双葉がそれをわかったのを感じ、羞恥に顔をゆがませる。
「可愛い…葉月のここ…ほら、もうこんなんなってる」
微笑を漏らしつつ、そんな恥ずかしいことを、平気に言ってくる双葉は、本当に血の繋がった兄弟なのかと、葉月は本気で考えてしまう。
「んぁっ……ひゃっ…くぅ」
双葉は葉月のそこを上下に性急に扱き上げていく。
 そこは胸を愛撫されただけで十分勃ちあがっていたから、双葉の大きな手に弄られて、すぐさま快感の波に飲まれてしまいそうになる。
「あ…ぁ…んんっ」
双葉が両手でそこに強い刺激をあたえ、たまに優しく握ったりして、葉月は快感に身体をねじる。
「嫌っ…あ、それ…あああっ」
双葉は葉月のジュニアを口にすっぽりくわえると、舌先を上手につかって、先端の亀裂を舐めっていく。
 すでに先走りの蜜を滴らせていたそこは、大げさなくらい反応する。
「はっ…はぁん…んぁ」
葉月が愛らしい声を漏らすたび、双葉の下半身も痛いくらい張り詰めてくる。
 双葉は葉月のいますぐに達きそうなそこの根本を親指と人差し指でまるをつくって、食止めた。
「ヤ…こんなの…んぁ…酷い…双葉ぁ」
焦らされるという初めての感覚に、葉月は真っ赤になった胸元と頬をさらけだして、お願いしてくる。
 それがあまりに男を誘っているようにしか思えなくて、いますぐに食べちゃいたい気分なのを、双葉は必死に抑える。
「ちょっと我慢してくれ…一緒に達きたい…だろ」
わけがわからないけれど、必死に葉月は涙目で必死に頷く。
「少し足を…広げてくれ…」
愛熱で朦朧としている頭では、今自分がどんなに恥ずかしい格好をしているかわからないからよかった。
 もし、ここで変に理性が残っていたら、葉月は今している自分の行動がどんなに自分の理性の許容範囲を超えているものかがはっきりわかって、恥ずかしさで死にたくなったはずだから。
「ん……」
葉月は双葉の言われるがままに足を開いた。双葉はその足を自分の両肩に片足ずつ乗っけると、葉月の後孔が丸見えの状態にした。
 これにはさすがに葉月は動揺したみたいだ。
「な、何!?…双葉ぁ」
「大丈夫だ…俺にまかせて」
双葉は葉月の上気した頬に手をやって、軽いキスをすると、葉月の口に自分の指を突っ込んだ。
「んあっ…ふぁ…んん」
口いっぱいに双葉を感じ、葉月は息ぐるしさよりも、快感を感じてしまう。
「そう…そうやって舐めて…葉月の蜜で俺をいっぱいにして…」
葉月は押し出そうとして、舌をいっぱいにつかってたのだが、それがよかったと誉められて、なんだか不思議な気分で、葉月は双葉の手を舐めっていく。
 人差し指と中指、薬指の爪の先から、指の根本までが滴るほどに唾液でいっぱいになると、双葉はようやく葉月の口からそれを取り出した。
 葉月が久々にできる口呼吸に、はぁはぁ吐息を漏らしていると、今度は下半身の方で、双葉の不穏な動きを感じる。
「ちょ、ちょっと…それ…」
丸見えになった葉月の最奥の蕾に、双葉はさっき濡れに濡らした手を滑らせていく。
「ああっ…っ」
いきなり挿入された恐怖に葉月は息を呑む。でも、人差し指一本だった上に、たっぷり濡らした唾液が潤滑剤の役割をはたしていて、そんなに痛みはなかった。
「あ、あぁ…ふっ」
葉月の声が不快を感じてないのがわかると、双葉は葉月の中にいきなり他の二本も挿れてくる。
「痛っ…キツイ…も…ダメ…」
さすがにいきなり三本に増やされた葉月の後孔は、双葉の指を強く締めつけてくる。
 葉月はその痛みに身体を小さくさせて、怯えている。
 でも…。
 双葉はその行為をやめない。
「葉月…こうしておかないと後でお前が辛いから…ちょっと我慢しろ。大丈夫だ、すぐ気持ち良くなる…」
双葉はそう葉月に宣言すると、中の指を第二間接で上にむけるように曲げるた。
「ああっ」
葉月は中の気持ち良いところを突かれたらしく、快感の声をあげる。
 双葉は葉月の中で何度も手を動かし、奥まで急に挿れたり、寸前まで抜いたりして、葉月の中で感じる欲望を高めて行く。
「あ…、あん、ふた…ばぁ」
可愛くねだるみたいな葉月の言葉と、手の動きに、双葉は答えるように、指を突き上げる。
葉月のジュニアが今にも泣き出しそうなくらい張り詰めていたが、それは双葉も同じことで。
「あ、も…だめ…お願い、ここ…あぁ」
「ああ、俺もだ」
…え?双葉も…?
 双葉は葉月の目の前で、ベルトをはずすと、熱く猛ったそこをさらけだした。
「ひゃっ」
葉月は、その双葉の大きくなった欲望を目の前にされて、悲鳴をもらす。
 それに双葉は苦笑すると、身体をいっきに葉月に覆い被さるように近づけた。
「俺も限界なんだよ…」
 双葉の少し下がった眉毛と、切なそうな瞳で見つめられ、葉月は少し頷く。
「俺も葉月が欲しくて、欲しくてたまんなかったんだ。よく十五年絶えたもんだよ…本当、ずっと…葉月が好きでしかたなかったんだから」
双葉の正直で、それでいて熱い告白に、葉月は双葉の後首に手をまわして、自分のほうに身体を引き寄せると、耳元でささやいた。
「俺も、双葉が欲しい…双葉を感じたい」
その言葉を合図に、双葉は葉月の中から挿れていた指を引きぬくと、それの替りに、自分の欲望をねじりこんだ。
「あああっ…熱い…熱い…」
いくら慣らしていたとはいえ、さすがに双葉の巨大な欲望を受けとめるにはそこは小さくて、葉月は痛みとそこで感じる熱さに、意識を飛ばしそうになる。
 けれど、すぐに腰をつかまれ、最奥まで突きぬかれる刺激に、葉月はなんども喘がされ、気を飛ばすことすら許されない。
「あ、ああっ…も…あっ」
苦しみに混じって、葉月は自分の身体が痛み意外の何かを感じ取っていくがわかる。
「葉月…葉月…」
耳元で囁かれるあまい響きに名前を呼ばれ、葉月は自分の中に何があるのかをリアルに感じる。
「双葉ぁ、双葉っ」
葉月の落ちつかない呼吸をわかっていながらも、双葉は性急に中のものを動かしていく。
「ああぁ…痛っ…熱い…恐い…」
葉月の涙にまじった叫び声などちゃんと聞こえている。
 それでも止められない。
 止めてやんない。
 だって、葉月のソコはしっかり勃ちあがっていて、自分の愛撫と挿入で悦んでるかそうじゃないくらいわかってる。
「葉月の中…最高…熱くて…少しキツイ…」
きゅうきゅうと締めつけてくる内壁に、双葉は少し顔をしかめながら言う。
「しかた…ない…だろ…んっ」
葉月は下肢で感じる熱さと圧迫感に、呼吸を乱しながら必死に言う。
「ああ、すっごく気持ちいい…」
双葉は葉月のジュニアを再び扱きあげる。
「ひゃっ、あ、ああっ」
葉月の声から、苦痛で苦しがっていた部分が消え始める。
「あぁっ…達く…ああ」
「んっ……」
葉月が外での快感を感じるたびに、中も吸い付いてしまうらしく、双葉は少し声を漏らすと、最後まで中を突き上げた。
「ああーっ!」
「達くときは一緒っていったろ…?」
腰が自分ではわかんないくらいに揺れ、双葉を誘っているみたいだ。
「あっ…ひゃぅっ、早…く…あ、双葉っ」
双葉が中で、激しい抜き差しを加える。
 奥まで突きあげたかと思ったら、出ちゃうんじゃないかってくらいまで引きぬいて。そんな激しい注挿を加えながら、葉月の中の性感帯を弄る。
「あ、…ああっ」
双葉が腰が抜けるかと思うくらい、脳天をかち割るかと思うくらい突き上げた瞬間、葉月の欲望は弾け飛び、双葉に白濁としたものを放っていた。
 そして、そのころ、葉月の中で双葉の情欲が放たれていた。
 葉月はそれを身体中で感じ、すごく幸せな気分になっていた。
 そして、そのまま意識を失ってしまった。

 その後、大変だったのは言うまでもない。
 教師陣は何があったのかまったくしらないわけで(放送室は防音がしっかりささってるおかげで、声は職員室まで漏れなかったのだ。良かった…)、ざわめく生徒たちを納めるのにそうとう苦労したらしいし。
 一番苦労したのは、葉月ファンの子たちで。
 中には学校を辞めてやると屋上で騒いだ人たちもいたらしい。なんとか思いとどまらせたみたいだけど。
 そして、そんな一年五組の中に、葉月をお姫様だっこした双葉が登場したものだから、ヒートアップしないわけがなかった。
 一応、葉月の意識は戻っていたからよかったものの。
 もし、ここで葉月が失神したままだったら、何をやっていたのか明白だっただろうから。まあ、そんな情欲の痕を色濃く残した葉月を、双葉はこんな狼の群れに連れてこなかっただろうけど。
「葉月!」
真っ先にかけてきたのは信吾だった。
「あ、うん…信吾。騒がしてゴメン」
力なく笑いながら葉月は信吾に頭を下げるが、それに答えようとして葉月の肩に手をおことした信吾の手を、双葉は汚いものでも払うがごとく、振りほどいた。
「葉月に触るな」
「ふ、双葉ぁ」
葉月は腰のたたない足をばたつかせて、おろしてくれるように頼むこむ。
 本当は授業なんてほっぽといて帰りたいのに、真面目くん葉月がそれを許さなかったからしかたなく教室に運んできた双葉は、少し不本意ながらもイスに葉月をおろす。
「ごめんね、信吾」
再び謝る葉月に、信吾は呆れたように言う。
「まあ、何があったのかは一目瞭然だけどね。学校では控えたほうがいいと思いますよ、双葉君」
「ご忠告どうも、葉月の親友の笹山」
二人の間に火花が飛び散る。
 それを感じ、他のクラスメイトは問いただしたくても、入っていけない状況になる。
 一人、何もわかんない葉月は、首を右に少し曲げて眉を寄せて二人を見る。
「ねえ…双葉、そろそろ戻ったら?」
葉月がそういった瞬間、教室の前のドアと後のドアが大きな音をだして、同時に開いた。
「先輩!…蜜葉!」
前の扉で少〜しばかり不機嫌そうで、それでもにこにこ笑う聖司先輩は…ちょっと恐かった。
 でも、もしかしてさっきの放送聞いて、わかってくれたってことだよね?これは。
 後の扉にいる蜜葉を見ると、蜜葉はいつもとかわらない落ちついた端麗な顔でこちらを見て微笑んだ。
 そして。
「葉月君!君はやっぱり僕の理想だ。今は双葉君かもしれないけど、いつかは振り向かせるからね」
「ぇ?…ええ?」
ちょっと、放送ちゃんと聞いてました?先輩。
「葉月、俺は双葉と同じ顔であんなやつより百倍いい優しいんだから、俺にする気になったらいつだっていいからな」
「蜜葉!?」
二人とも何言ってるんだよ〜。
「諦めないからなっ、覚悟しといてね」
二人にそんなことを言われ、唖然としている葉月を後から抱きしめた双葉は葉月の顔をぐっと上に向かせ、無理やりな格好で強引なキスをする。
 これにはクラス中静まり返った。
「葉月は俺じゃなきゃだめなんだよ」
そう言いきった双葉に、葉月は人前だということも忘れて、唇にキスを返した。
 やっぱり双葉じゃなきゃ嫌。
 そう、双葉に聞こえるだけの声で囁いて。
                                   完
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