絶対王子×魅惑王子

最初。 小説。 学生モノ



「ん……」
身体が重〜い。
 俺は身体…とくに顔に何か違和感を感じて、一回寝たら絶対起きない性質なのに、目を開けてしまった。
 今から思うと、開けないほうがよかった……かも。
「…カノン?」
「起こしちゃいましたか」
目の前に居たのは、数日前から俺の家に留学にきている、ルーズロイド・カノン。ヨーロッパの小さな国、ルーズロイドの王子らしい。
 やけに日本語が上手いのは、ルーズロイド人の中には日本人の血を引いている人が多いらしく、日本語は小学校から必ず習うモノらしい。
 かく言うカノンだって、おじいちゃんだかおばあちゃんが日本人らしくて、まあ、そうい繋がりもあって、俺ん家になんて民家に、一国の王子がきてるんだけど。
 確かに綺麗な顔してるし、気品たっぷりのしぐさ。男の俺にすら礼儀正しくて、まさに王子様って感じなんだけど、俺は、あんま気に入ってなかった。
 なぜなら、俺は俺意外の男が弟である光に近づかれるのが嫌だから!
 光は俺の一個下で、高校一年生。可愛い顔、ルーズロイドの人間である祖母の影響であるオレンジの髪色。そして、性格はもう激プリティだったから。
 つまり、そこんじょそこらの女より、全然可愛かったから……。
 俺はそんな光を狙う男どもを今まで追い払ってきたのだ。
 こいつも、その一人だ!油断するな!
 俺の経験が、そう言ってる。
 なのに……なんで、カノンは…何やってるんだ?
「お姫様…どうして気付いてくれないんですか。僕は君を迎えにきたんですよ」
しゃべるたびに、暗闇の中を綺麗なブロンドの髪がなびく。
「お前…カノン…何やって…?」
意味不明。思考回路停止。
「だって、こうでもしないと、ミトは気付いてくれないじゃないですか」
俺の名前を呼び捨てに呼ぶのは初めてだった。
 ミト…。俺の名前。
 本当は【美人】って書いてミトって読むんだけど、恥ずかしいから…俺はいっつもテスト用紙にもミトって書くことに決めてる。
「こう…?」
こうって、どう?
「もしかして、気付かれなかったんですか?」
少し馬鹿にしたような、侮辱したような敬語が、カノンの口から飛び出る。
 なぜ、王子なのに敬語なのか。それは、カノンが光と同じ歳、つまり年下だからだ。
 俺は、身長的にも、外見的にも、経済力においてもコイツに勝てない…ってわかった瞬間、あまりにむかついて、敬語でしゃべる言い方を、普通のしゃべりに直させなかった。
 まぁ、もともとこいつが好きでしゃべってるっぽいし。いいかって思ったんだ。
「気付かないって…気付いてるさ。お前は寝ぼけて俺のベッドに入ってきたんだろ?」
そう、そうなら納得がいく。俺は、自分に言い聞かせるように、確かめながらそういう。
 けれど、その答えは的を外れていたらしく、カノンはため息をついた。
 ムカッ!
 人の上に乗っかっておいて、ため息とはなんだ!
「お前、いい加減にどけよ」
俺はそういうとカノンの胸を押し上げた。
 しかし、押し返すために起こした俺の上半身をベッドにおし戻すと、カノンは俺の視界を奪う。
「理解していただくまで退きません。実力行使に出させていただきます」
それって…と聞こうとした瞬間、俺は両腕を掴まれ、べっどに張りつけにされると、唇を無理矢理奪われた。
「んん〜んっ」
キスっ!?
 キスなんて…初めてしたけど…そんな俺にでも、されてれば、キスくらいわかるっ。
 な、なんで。
 あれ……でも…もしかして…。
 さっき感じた、口の重みはこれだ!
「やっ……んんっ…っ」
初めは唇に触れるだけだったカノンの唇は、舌で俺の口をこじ開けると、しのばせこんでくる。
「ぁっ……」
カノンの舌の先が、俺の舌の先に触れて、俺はピクッと身体を震わせる。
 やめろっ、とか、嫌だとか叫びたいのに、口は呼吸をするのも忘れるくらい絶え間なく、塞がれてそれどころじゃない。
「んんっ」
ざらりとした感触と共に、背中の後がゾクゾクする感覚に襲われる。
 俺は身体をそのままにしとけなくて、手のひらで必死にシーツを掴む。 
 なんだ俺が、こんなヤツに…。コンプレックスを感じさせる目の前のカノンの姿に、その男にされている行為のせいで、俺は泣きたくなる。
「泣かないで下さい、ミト。気持ちいいでしょう」
俺は涙目になったそれを見られるのがいやで、顔を背ける。
「泣かせてるんじゃないですか」
いきなりドアが開き、俺の大好きな声がして、俺はハッとする。
 カノンは振り向かなかったけど、急に大人しくなって俺から身体を離した。
「光っ…!」
弟にこんな男に襲われているような姿を見られて、俺はどう隠して良いのかわからず動揺してしまう。
「カノン君のお部屋はこっちだよ」
光は、俺の方ではなく、カノンの方を見て、やや強引にカノンをひっぱっていってしまった。
なんだったんだ?アレは。
 はっ!まさか…。
 俺の中で唯一ありえない言葉が浮かぶ。
 カノンと光は両思い…?
 それなら、俺と同じで寝ついたら起きない光が、こんな夜中に起きてきてカノンを連れ戻しにこないだろうし、カノンは、きっと俺に了解をもらいたかったんだ。俺が光に対してブラコンなことは知ってるはずだから…。
 ガッコでも有名な俺のブラコンっぷりは、俺を生徒会長にまでさせた威力がある。なぜなら、光の髪の毛の色でも、学校内で普通に暮せるように、会長の権限でそうさせるために。
「そんなぁ…」
今まで守っていた者が奪われる。しかも…あんなヤツに…。でも、光が好きだっていうのなら、みとめなきゃ…なのかな?
 でもやだぁ!やだっ!
 なんかわかんないけど、アイツはやだぁ!
 俺は、布団に篭り、朝まで苦悩しつづけた。

 「ミトに手をだすな」
その頃、ミトの前とで一変した悪魔な表情を浮かべた光は、自室でカノンを睨んでいた。
「君の…本性をミトに見せて上げたいね」
「…ミトは俺にラブラブだからね。あんたが何言ったって聞かないよ」
「そうだろうね」
「僕が男に襲われると思ってるんだから…本当ボケてるよ。僕はまず受け気質じゃないし、自分が可愛いことは知ってて、有効活用してるから問題はないのに…。実際危ないのは、ミトなのに」
そう。実はミト。ものすごい美人だった。整った顔立ちに、真っ黒な黒髪。それは、真っ白な肌に映えていた。
 まさに、男をそそる魅力の持ち主……で。
 そんなミトを守ってきたのは、誰でもない光なのだ。
「ミトに手だしたら、ただじゃおかない」
光は再びキッとカノンを睨みつけるが、カノンは余裕の笑みのままだ。
「キスはしたけど…ね」
「貴様っ」
光はカノンの胸倉を掴んだ。しかし、やはりカノンは余裕たっぷりだ。
「ミトはもらうよ」
そう肯定分でささやいた。

「おい、美人…アイツが呼んでるぞ」
親友の遠藤が俺の席にわざわざ来て、それを告げる。
 知ってるよ…。休み時間のたびに俺の教室のドアの前にカノンが居たことくらい。
 カノンは光と同じクラスで今は勉強してるから、本当なら棟も全然違う場所にいるはずのカノンが、何故か気付くとそこにいるんだ。
 知ってる…知ってるさ。理由くらい。俺に光のとのコトを認めて欲しいんだよ。誰が認めるかっての。俺の大事な、大事な…大好きな光を横から奪われてたまるかっ。
 でも、逃げてるってのもダメだよな。
 これじゃあ、俺が弱いみたいじゃんか。
 年下から逃げて、俺……何してるんだっ!
 そんなのが、この学校の生徒会長か!?
「ああ……ありがと遠藤」
俺は遠藤の肩に手を置き、ポンポンと叩くと、カノンのところに重い足を運んだ。
「ミト」
カノンは自ら足を運んでくれた俺を労わるように、抱きしめる。
 …こんな態度とったって、俺はお前なんかに光は渡さないっ。
「離せよ…。話があるんだろ。…生徒会室に行こう。そこなら誰もこない」
「はい、ミトの部屋が見れるなんて嬉しいです」
「…だから、離れろって…」
ミトは自分より遥かに大きいその肢体を押しやる。くそ…本当…ムカツク。
 なんでこんなにムカツクのかもわかんなくて、それすらムカツク。
 たぶん、俺、コイツと一生気が合わないんだ!

「ここだよ」
生徒会室は、学校の一番上の階の最奥にある。つまり、結構人気がないあたりで。廊下で話しても別に構わなかったんだけど、どうせ来たんだし……と思って、俺は鍵を慣れた手付きでポケットから引っ張り出すと、鍵穴に挿し、ノブを回した。
「好きなところに座れよ」
「ミトはどこに座るんですか?」
「俺?…そこのソファでいいや」
俺が生徒会室にあるちょっとぼろいけど、慣れ親しんだ二人がけのソファに腰を下ろすと、カノンは俺の隣に腰を下ろした。
「狭いだろ」
「ミトはどこでもいいって言ったでしょう?」
揶揄するように言われ、ムッとしてしまう。
 ダメだ。ダメ。年下に翻弄されてどうする!俺。
「ああ…じゃあ、本題に入るな」
「はい、そうしましょう」
「俺はお前の思いを聞き入れるつもりはないっ!」
はっきり言ってしまったほうがいいと思ったんだ。だから、俺は間髪入れずに問題の答えを言ってやった。
「……どういうことです?」
カノンの声が少しだけ低くなり、何かを含んだ声になった。
 一瞬恐ろしさを感じるが、俺は話しを続けた。
「どう言うコトも何も…。お前が光を好きになったのはわかる。光は可愛くて、魅力的で、性格だって最高だし。でもな、だからこそ俺は光が大好きで、お前なんかに譲り渡す気はないんだ!例え…両思いでも。いいか?わかってるか、王子様なんだぞお前。さっさとルーズロイドに帰って、どこかフランスの貴族とかと結婚すりゃいいじゃないかっ」
俺は一気にまくし立てるように言ってのけた。
 そうでもしなかったら、途中で酷いコトを言ってるって思って…言えなくなりそうだったから。
 カノンの顔が見れない。
 怒ってる…?悲しんでる…?
 俺が下をうつむいていると、急に顎を無理矢理上に向かされ、少し咳き込む。
「ミト…どうやら、あなたは俺のことを何にも知らないようですね」
「…知ってるさ。お前はみんなと同じに光が好きなんだろっ」
「だから、何も知らないって言ってるんですよ」
そう言うと、カノンは俺に強引にキスをしてきた。
「んんっ……」
巨大な存在感のあるカノンの舌が俺の中に入ってきて、蹂躙する。
 ミトは身体を右往左往に動かし、必死の抵抗をする。
 口の端からこぼれる唾液が、さらに羞恥にまみれさせた。
 こんなことして…俺をさらに苦しめるのかっ。辱めるのかっ。
「やっ…や…んぁ…」
呼吸するために与えられるかすかな瞬間に、ミトは声を振り絞り、言葉の抵抗をする。
 俺はこんなヤツに屈しない。こんなヤツになんか…。
 何度舌を絡めても、どれほど口の中に唾液を注いでも、どんなに口内の性感帯を犯しついてみても、抵抗の喘ぎを出すだけ…。
「ミト…どうして信じないんです…どうして答えてくれないんです…?」
吐息のこぼれるような、囁くような声で、耳元で言われ、身体がゾクリとする。
「ど…どうして…?」
「こんなキスしてもわかってもらえませんか?」
何のコトだよ。…本当わけわかんない。
「俺がミトを愛しているってことをです」
俺は眩暈がした。
 なんだって?ふざけるなっ!
「そうやって…俺を屈して、光を手に入れようってのか?ふざけるなっ。俺はお前なんかに……」
言った瞬間、俺は両腕を痛いくらいにカノンに掴まれる。
「何して…」
俺はそう言おうとした瞬間、目の前のカノンに本気で恐怖を覚える。冷酷に冷えた表情、でも、なんだか悲しそうで…。
「わかってもらえないのなら…わからせるまでです。この選択肢を選ばせたのはミト…あなたですからね」
ゾクッ…。
 言葉にすら身体中が熱くなる気がした。
 逃げなくちゃ。俺の咄嗟の判断力はそう囁いた。
 身体を無理に上に動かしたり、ソファからすべり落ちようとするたびに、カノンに無理矢理引き戻される。
「あなたという人は…」
ため息混じりにカノンはそう囁くと、自分の制服のネクタイを片手で器用に外した。ウチのガッコのネクタイは、真っ赤な細身のネクタイで、どっかのブランド品らしく、高級感が漂ってるモノだ。
 けど…なんでそれを外してるんだ?コイツは。
 俺が呆けてみていると、カノンは鼻で笑った。
「俺、ボーイスカウトとかやってたんですよ、実は」
へぇ…ああ言うのってどこの国にもあるもんなんだな。
「だから、縄の縛り方とか…結構知ってるんですよ。暴れるたびに、きつくなってく結び方とか」
カノンはそういいながら、先ほど外したのネクタイを俺の腕に巻きつけていく。口と手を使って器用に…。
「ほら、これが…暴れると締めつけてくる結び方です」
俺は両手を引っ張ってみたが、確かに。引っ張るたびに痛くて、その上身体を締め付けてくる。
 あれ?なんで俺……縛られてるの?
「カノン?」
カノンの表情が、いっきに晴れ晴れしてくる。すごい笑顔。
 まるで太陽みたいな。
「だから、わからないなら、わからせるまでです…って言ったでしょう?身体に教え込ませますよ…俺がどれほどミトを欲しているかを…」
「お前…何…」
動かない身体、使えない両腕。これは、本気で絶体絶命…じゃないか?
「やだっ、やだっ…やめろっ。カノン…」
カノンは俺の身体からブレザーを剥ぎ取り、ワイシャツを乱暴に左右に開く。俺の足元にボタンが落ちていく音がした。
 そんなカノンは王子様なんて全然思えない。ただの高校生になってた。
「ひゃっ…」
いきなりカノンの冷たい指が、俺の首筋にまとわりついて、俺は悲鳴を上げる。
「気高くて、綺麗で、聡明で…そんなあなたに夢中になるなって方が無理な問題ですよ」
「くっ…ふぁっ…嘘…」
うそつき…。
 カノンは俺の首筋に少しだけ歯を立てる。
 その痛みに、少しだけ顔をゆがめる。
 けど……そこが何故か…熱くて。
「嘘ですって?どうしてです…?」
カノンの声は少しだけ怒りが篭っているようだった。
 それを俺にまた言わせるのか…?お前が好きなのは光だって…。
「あっ…」
カノンの俺よりずっと長い指が、顎をなぞり、喉を伝い、胸元に降りてくる。
 俺は恥ずかしさに耐えきれなくなって、身体を夢中で動かす。
 でも、抵抗にも全然ならなくて。
「俺がうそつきって、どうしてそう思うんですか?」
カノンの身体は、カノンが一言一言何か言うたびに、ズンッと俺に乗っかってくる。
 足と、足の間にカノンを入れている状態になり、今の現状に俺は素直に動揺する。
「…お前が好きなのは………光…だろ」
間違えるなよ…。好きな相手くらい。
 けど、俺の話した言葉は、間違いも甚だしかったらしい。
「俺が、光を?」
そういいながら、冗談じゃないとばかりに、俺の上で笑った。
 なんだかめちゃくちゃ馬鹿にされたみたいで。
「ミトってどこまでずれてるんだろうね」
「ふっ…あっ」
カノンは言葉で俺をののしりながら、手で俺の胸の突起を弄る。
 この男…話させようとしてるのか、話せなくしようとしてるのか…。
「失礼ですけど、あなたが思っているほど光はいい子じゃないですよ」
「……光…を馬鹿にするなっ……」
「ええ、あなたは俺の言葉なんて信じないでしょうけど。一応言ってみたまでです。とにかく、俺は光に対して不埒な気持ちを抱いたコトは一度だってありませんよ。こういうことしたいのは……ミトだけ…」
そういいながら、胸の突起に舐めりつくカノンの熱い舌先…。
「だっ……て…みんな…光が好きなんだ…」
なんでだろう…この言葉を発してしまったとたん、俺の目には滝のように涙が溢れてきちゃった…。
「光はいつも…可愛いってみんなに言われて…髪だって綺麗だし…性格いいし…」
「ミト…」
「俺なんて……可愛くない性格してるって自分でも…知って…」
カノンの妙な手付きがいきなり止んだ。
 そのとたん、俺はカノンに抱きしめられてた。
 な、なんで?
「可愛い過ぎ…ミト…最高に可愛い」
はい??
「光に嫉妬しててくれたんですね」
「嫉妬!?」
俺は慌ててその心地よさから離れようとする。
 だって…本当に…カノンの胸は心地よすぎて、我を忘れかけてたから。
「そうですよ。それ意外の何にも変えがたいですね。あなたは光に嫉妬してたんです。僕を取られるんじゃないかって」
カノンをどうこうは置いといて…。
 もしかして、カノンの言うとおりなのかも。俺、今まで光が可愛い可愛いっていいながら、いっつも人に囲まれて、太陽のような笑顔を振り撒ける光を羨んでたのかもしれない。その存在がまぶしくて…しかたなかったのかもしれない。
「いっときますけど……俺はミトが欲しいんですからね」
他人から、俺を求められたコトは初めてだった。
 こんなにも強く…。こんなにも情熱的に。
 俺は目の前の王子に、自分の何かを壊してもらっているような感じがした。
 それは、恐怖ではなく………心地よい春風のようで。
「本当に…俺でいいの?」
「あなたがいいんです」
俺はカノンの柔らかく甘い唇を、唇で受けとめた。

「んんっ…あっ」
カノンの吐息が、熱が、情欲が俺に伝わってきて、俺はそれだけで達きそうになる。
「ミト…俺を見てください」
既にはだけている俺たちの身体は…何も身につけてない状態で。
 俺はそんなカノンを見るのが気恥ずかしくて、顔を背けてたんだ。
 今は全部熱のせいにしちゃうからな。
 後で俺はきっと苦悩するけど…今はいい。
 今だけは…ここがガッコの生徒会室でも、授業中だってことも…忘れてやる。
「カノン…ぁ…っ…」
カノンに無理矢理向き合う形で抱かれ、俺は顔を赤らめる。
「ねえ…ミト…本当にこういうことしたことないの?」
「あ、当たり前だろっ」
さっきから、身体をいいように弄られても、舐められても、抵抗できなかったのは……なんか慣れてるカノンが悔しかったから。
 くそ〜…コイツおぼっちゃんじゃなかったのかよ〜。
「光も苦労しただろうね、男共の欲望からミトを守るのは」
「逆だ。俺が光を守ってきたんだぞ?」
カノンは苦笑すると、俺の下半身をきゅっと握り締めた。
「あぁっ」
身体中の熱が、急にそこに集められる感じになる。
「みんな…ミトと出会ったみんなが…ミトのここを可愛がりたいって思っていたなんて…あなたには想像もつかないことなんでしょうね」
「……ぇ?」
聞こえない…なんて言ったのさ。
「はっ…あっ…カノン…何言って…」
カノンは俺のソコを上下に丹念に扱いていく。
 だんだん大きくなってくそこはそれでもカノンの手の中にちょこんと納まっている。
「いらない知識でしたね。ミトは俺だけの気持ちに気付いててくれればいいんです」
「はっ…あぁっ」
達く…。そう思った瞬間、今度は俺から外したネクタイを俺の下半身の…そこの根元に縛り付けやがった!
「な…何してっ!」
さすがの俺もこれには怒りそうになった。だって、だって…これじゃあ、達けないっ。
「ミトだけってのは酷いですよね。俺だって我慢してたんですよ…。あなたと一つ屋根の下にいるっていうのに…」
その後ごにょごにょと言葉を逃がしたカノンはなんだか可愛かった。初めて年下って気がした。でもさ、勝手に我慢してたのはそっちで、俺に責任はないぞ!いや……気持ちに気付く前に襲いかかってきてたら、たぶん、ううん、絶対に俺はカノンを嫌いになってただろうけど。
「どうしたいんだ?」
俺の知識はないに等しい。直接聞いたほうが早い。
「ココに俺の欲望を入れたいんです…いいですよね」
「きゅっ…ああっ」
俺はあられもない場所にカノンの指を突っ込まれて、甲高い声を発する。
 だって、だって…下半身の…奥に…手が…指が。
「痛っ……お願…い、抜、いて…」
顔が苦痛でどうにかなりそうになる。
 身体は緊張感で張り詰めていて、そこの中も締まってしまったようだ。
「気持ち良くなります……ほら」
「あぁっ!」
気持ち良くないっ!痛い…熱いっていうか…お腹が圧迫されるっていうか…。
 俺がどんなに泣いても、わめいても、カノンの指は増やされ、動かされるだけで。
 身体の中で形を変え、向きを変え、カノンの指は俺を嬲る。
「〜〜っ…ァッ」
それでも、何度目かの指の突き抜きを感じた時、身体中を電気が走った。
 カノンは嬉しそうに、そこを見て微笑んだ。
「今、気持ち良かったでしょう?ミトのここ…俺を受け入れてくれたんですよ」
「馬っ………」
お願いだから言葉にしないで。
「ミト…」
いきなり真剣な顔のカノンと向き合う。
「…ミトが欲しいです。一生愛しています…離しません。嫌って言っても…。ですから、抱かせてください」
こういう返事って、どうすればいいの?
俺が戸惑っていると、カノンは俺に今までで一番熱い口付をして、性急に離した。
「返事はキスで…」
俺は言われるがままに、カノンにされたようなキスを返した。
 
 長い、長いキスの荒しが終わると、カノンは俺の腰を抱きなおした。
 カノンの盛っているソコと丁度…くっつくようにされて、俺は目を瞑る。
 だって、それを凝視できるほど俺は出来た人間じゃないぞ!
「嫌……っ」
か弱く声が漏れる。
 カノンは苦笑する。だって…いまさらだ。
「ミト…愛してます」
「うん…俺も…」
そう思うと、いきなり不安は消えた。
 カノンは急に腕とソコに巻いていたネクタイを外してくれた。
 でも、その理由がなぁ…。
 背中に腕回して、ミトに引っかき傷でもつくってもらえなきゃ、せっかくの初えっちなのに、もったいないでしょ…だって。
 はぁ…。俺は顔を真っ赤にさせつつ、カノンの背中に流れ的に手をやる。
「ちょっと…我慢しててね」
そう呟かれた瞬間、俺の中にカノンが進んできた。
「あっ、あ、ああ〜っ!」
痛い…ものすごく痛い。
 さっきの指なんて問題外だ。ううん、まったくの除外物。
「はっ…カ…カノン…」
俺が苦しそうな声を漏らすたび、カノンは俺の前の方を触り出す。
 後と前を同じにやられて、俺はなんだか可笑しくなりそうになる。
「ミト……熱くて…きつくて…俺を愛してるって大声で言ってるね…ココ」
「んっ…ふぁっ………っ」
言ってるかもしれない。うん、怖いけど、痛いけど、俺…カノンを受け入れられて嬉しいんだ。
 だって、俺のコトを世界で一番欲しがってくれる人に出会えたんだもん。
「………好き…」
カノンの耳になんとか囁く。
 カノンの身体がいきなり大きく揺れ、俺の中に何かが弾け散る。
 ううん、何かじゃない。カノンの欲望の全て。俺に対する全ての愛だよ。だから、こんなにもあたたかくて、いっぱいなんだ。
 カノンの全てを受け入れた瞬間、俺もカノンに対する全てを放っていた。

「あれ…そう言えば、お前王子様じゃん…」
「うん、そうだね」
目覚めた俺は一つ気に掛かるコトを思い出し、カノンに問い詰める。
「結婚して……子供つくらないといけないんじゃないのか…?」
すると、カノンは悪戯を発見した子供みたいにわらった。
「ん〜!ミトって本当焼きもち妬きさんですね」
なっ…俺は本気で心配してるのに。ルーズロイドの未来を。
「平気ですよ。ルーズロイドではもともと、第一王子は男と結婚するって決まってますから、後継ぎは姉の息子がいますから」
はい??
「第一王子は男と結婚だって!?」
「ええ、俺ののご先祖様が確か男と結婚なさったようで、それ以来風習ですね」
なんちゅー国だ。
 俺は呆気に捕られた。
「だから、安心してミトは俺の花嫁になってください」
それも悪くないか…?
 世界で一番必要としてくれてる人の元に、一生側にいたいってのは可笑しいコトじゃないモンな。
「きっと…な」
俺が顔を真っ赤にして答えると、カノンは俺のおでこに自分のおでこをコツンとつけた。
「絶対…ですよ」
そう囁いて。

完。


最初。 小説。 学生モノ


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