欲情☆発情★ボイス

−1− −3− 小説。


−2−


「へたくそ」
いきなり吏人は悪態をついた。朔也はむっとして、でも何もいい返すことが出来ず押し黙る。デビューを1ヶ月に控えた二人は、白河プロのダンスレッスン場で有名な先生に指導を受けていたのだが、吏人は早々と覚えると、その先生に向かって『そこはこうした方が俺たちはえると思いません?』や『なんだ簡単じゃん…これだけ?』など横暴なセリフを投げつけ、終いには『もういいよ』と追い出してしまった。全然まだよくなかった朔也は先生のレッスン着にしがみつき居てくれるよう懇願したが、この人も吏人には何もいえないらしい。朔也のうるうる瞳に困惑して戸惑ったようだったが、その二人のやりとりに切れた(嫉妬した?)吏人によってあっさり引き離され、去っていってしまった。
(この〜…俺様やろうめぇ〜)
がらにもなく朔也は頭の中で吏人に向けて悪口を罵倒する。けど、頭の中だけ。実際に行ったら、スキンシップという名のお仕置きが返ってくるだけだと、ここ数週間で朔也は学習した。朔也はその声と歌意外は普通の人以下をぐ〜んと下回るほどのの才能を持しか持っていなかったため、吏人に毎日馬鹿にされっぱなしだったのだから、鈍感な朔也もわかるというものだ。けど、この男はなぜこんなにも自分に…Hな(言葉で言うと恥ずかしい〜…)スキンシップを取ってくるのだろう?幸四郎の話じゃ、ほとんど他人を必要としないやつだって言ってたんだけど。…でも、あ〜んな酷いことされて毎日泣く思いしているのに吏人から逃げない自分にも腹がたつ。だって、やっぱり吏人ってばあこがれてた存在だし。会ってHで何様な態度とるところが普段から変わらないってのは意外だったけど(役作りかと思ってたんだよう)、演技はものすごくうまいし、歌だって自分より100倍はうまいと思った。それに、吏人の声は聞いてるとぞくぞくって来て、身体中に電気が走るのだ。そう吏人に言うと、吏人は苦笑いで否定する。俺の声より朔也の声のほうが全然ゾクゾクって来るんだよって。普段は人を小馬鹿にした表情でしか見ない吏人だから、そんなセリフはかれちゃって俺としてはドキドキしてしまったり。
「だから、そこん時の振りの右腕が違うんだって…」
何度も同じ所を間違える朔也に吏人は言葉で教えるのがまどろっこしくなってきて、朔也の背後に立ち、腕と腰をそっと掴む。普段からいろんなところを吏人に触られまくってる朔也は、そのことを思い出しカーっと耳まで赤くして、身体を硬直させる。
「わ、わかったから…放して」
「分かってないから、こうやって教えてやってるんだろ。ほら…こうして…」
(本当に他意はないのか〜〜っ!?)
あくまでひょうひょうとした表情でダンスをしこんでくる吏人の不穏な指の動きに朔也は疑いの表情を隠そうともしない。それは部屋いっぱいの鏡に写り、当然吏人の目にも入ってしまう。麗はその真っ赤な唇をほころばせ、ニヤリと微笑む。そして、朔也の緊張して動きが鈍くなってきた朔也の耳に舌を奥まで犯すように這わせ、首筋にキスをする。その日の朔也は普通にTシャツでこの事務所まできたので、帰り際こんなもの発見されたらなどと思い、わたわたと抵抗し始める。
「り、吏人!!」
吏人の顔を見上げると、してやったりという顔で微笑み返される。
「朔也身体が固くなってるから、少し緊張ほぐしてやろうか…」
そして、有無を言わせずいきなり唇を奪われる。首を天井を見上げるくらい上げている苦しさと、酸欠と、快感で、ダンスの疲れなど比べ物にならないくらいのものが押し寄せ、頭がクラクラしてくる。吏人の舌は熱を帯びていて、その熱を朔也に移し残していく。少しずつ角度を変えながら、喉の奥へ奥へと突っ込んで、引き抜く。それを繰り返す。朔也の口内は吏人の蜜いっぱいになる。
「んんーー!んあぁ…ふぁ…ん」
苦しそうに身をもがき、悶える姿を見て、吏人はようやく朔也チェリーな唇を名残り惜しそうに放す。瞬間的に朔也は咳き込み、呼吸をこれでもかというほどする。
「はあぁ、はあ…吏人ぉ、俺…レッスン中なんですけど」
「知ってる。だから身体ほぐしてあげてるんじゃないか。ずいぶん滑らかに動くようになっただろ?」
平然として言う吏人から本当に意地の悪さを感じ取る。
「知ってるなら、離れててくれよっ。俺は吏人と違って覚え悪い子なのよ〜く知ってるでしょっ」
「じゃあその悪い子には個人レッスンだね…マンツーマンの…」
(ひぇ?)
意味ありげな発言を残すも、朔也にはその半分も伝わっていない。吏人は朔也の華奢な肢体をひょいっとお姫様だっこのように持ち上げると、バーベルのある鏡の前にちょこんと朔也を置く。そして、朔也のTシャツを簡単に脱がし、そのかわいらしい上体をあらわにさせる。しかも、鏡に写っているためか、誰かにみられているよな恥かしさが朔也を襲う。
「やっ…何で…俺悪いことしてない」
「でも、悪い子なんだろ?」
自分で言ってしまった失言に朔也は血の気をなくす。そして今にもそのままの淫らな格好で逃げだそうとする朔也の腰をがしっと掴んで、自分の熱く盛っているジュニアを押し付ける。朔也の表情がまたも真っ赤に染まり、逃げ出す抵抗をしなくなるのを見届けると朔也の耳元で熱い吐息を絡ませた言葉を発する。その声は普段より艶を増していて、それだけで朔也を拘束する力を持っている。吏人は丹念にその指先で愛撫し、朔也を無理やり快楽へ連れていく。
「んあ…あんぁん…やだ…いやだってば」
「嫌…ねえ」
ここはそう思ってないみたいだね…吏人は朔也の突起をさっきより強く摘んで、いぢくるようにしてる焦らす。
「ああっ…ふぁんあ、り、吏人っ」
「相変わらず…いい声を出すんだな」
「ふっ…んーんー…ふぅっ」
朔也は恥ずかしくなって口元を手で抑えるが、そうすると今にも倒れてしまいそうになり、もっともっと流されてしまいそうなので、すぐに手をバーベルに戻さなくてはならなくなる。そんな朔也の行動を見て、吏人は満足気に事を進める。ふと、ぼや〜っとしてきた…と思った瞬間、朔也は下半身が急に涼しくなった気がして、鏡に視線を移し唖然とする。目の前の淫らに胸元を赤く染めている自分の、吏人に愛撫され快楽の表情におぼれている自分の未発達な(いや、開発停止?)ジュニアがあらわにされていたのだ。
(〜〜〜っ!!!ぅわあぁぁぁ…っ)
上は最初に脱がされていたため、はっきりいって素の身体をこんなダンスルームでさらしている事にいまさら気づき、吏人を鏡ごしに睨む。吏人は知らぬ表情で指を胸の二つの突起からすべらし、お腹を通しヘソを擦り、ジュニアの上の山を軽く握る。
「ひゃんっ!!」
いきなりな敏感な場所の愛撫に驚き、身体をびくっと反応させてしまう。それが吏人にはどう写ったのか、『感じちゃった☆』と言う感じにでも見えたのだろうか?フフっと笑みをこぼし、今度は少し強くお山を握ってきた。
「ぁああん!!や、ダメ…もう…達っちゃう…」
ああ…俺なにゆってるんだろ…しくしく。絶対こいつ俺で遊んで楽しんでるだけなのに…。お仕置きとか言ってさ。けど、うん?吏人ってば、このごろ彼女とかとデートとかしてない?いっつも俺のダンスとか演技指導に入ってくれてるもんな〜…。それってちょっと嬉しいかもかも。それだけで達っちゃいそうなのに、吏人はすかさず俺の半勃ち(それよりちょっときてるかも…)したジュニアの根元をきゅっとつかむと、そこから執拗なほどに上下に激しい愛撫を加える。
「あああ…んくっ!!んぁあ…ふあぁん…やん…や…」
朔也は今一度鏡の中の自分と視線があってしまう。その自分は、吏人にしてしてって勝手に視線や腰の動きでお願いしてるようで、その情けない姿の恥ずかしさで、身体の熱が燃え盛る。
「やだ…達っちゃう〜もう…だめっだめぇえ」
「どうぞ?」
吏人が愛撫を強くしたり、優しくしたりする律動にあわせて、朔也は快感のしぶきを目の前の鏡に降り注ぐ。鏡は一瞬にして白く曇り、鏡の中の自分に吐精したような怪しげな感じに、朔也は思わず顔をそむけ、その場に倒れこむ。吏人はその朔也の顎を掴んで鏡に向きなおさせると、朔也のミルクがついたばかりのそれに顔を押し付けさせる。朔也は自分の精液の生暖かさを顔面で感じ取ってしまい、気持ち悪さを覚える。
「やだやだやだやだぁぁ…吏人吏人吏人っ〜…」
ど、どうしろって言うのさっ。あまりの初めてな感触と香りに拒否感が押し寄せてくる。けれど、吏人は朔也の頭を押さえつけたまま鏡の中で笑っている。
「自分で汚した分は、自分で片付けなくちゃね〜」
え…!?そ、それってまさか…。朔也は顔を真っ青にして鏡の中の麗に救いを求める、が、吏人が自分の言うことを曲げるなんてこと、日本人全員がアラスカで暮らし始めるくらい(何この例え…)朔也はよ〜くしっていた。もちろん、ありえなかった。
「そのお口の中のベロで綺麗に舐めなさい…一滴残らずね」
ううううう…やっぱり。でも、でも、それだけは出来ないよ…俺…。だって、だって自分の身体にあったものを舐めるんだよ!?おかしいよ〜…しかも、あんまりおいしいものでもなさそうじゃん?それって。いや、舐めたことないけどさ。朔也が戸惑って鏡とにらめっこしていると、吏人はこうするんだよって呟いて、朔也のミルクをその長くいやらしい舌でペロペロと舐めて来たり。や、やめてくれ〜!自分で舐めるのもやだけど、吏人にそんなことされるのもなんかヤダよ。な、生のは何回か口でしてくれたし、何回かは口内にだしちゃったけど、けど、でも、鏡についたの舐めるって、なんか余計エッチだよ〜っ。朔也は吏人の身体を鏡から放そうとするけれど、全然びくともしない。何度か腕をひっぱったり、鏡と吏人の間に入りこんで空間を開けようと試みても、以前吏人は朔也の後始末をしている。思いっきり強く、混信の力をこめてひっぱった瞬間、ひょいっと吏人の身体は簡単に鏡から遠のいた。やっと止めてくれたのか…と吏人の顔を見ると、吏人はその朔也のミルクでいっぱいになった舌をペロっと朔也に見せつけ、そしてぐっと朔也の顔を上げさせると、その唇に舌先を這わせ、唇を押し開けると、舌を口内につっこんできた。いきなり、未体験な不可解な味でいっぱになる口の中に不快感を抱き、朔也は身体をじたばたもがき始める。けれど吏人はそれすら抑えるように、舌を奥へ奥へと突っ込んでくる。朔也は自らの舌で押し返そうとするが、自分の精液の味にひるんだところを簡単に吏人に見ぬかれ、絡まされ、快感へ持っていかれる。あの味さえも。あの香りさえも。あの感触さえも。そして、口内を荒い調子で犯し終わると、呼吸もままならない朔也の顔を再び鏡へ戻した。
「ね、一回覚えちゃうとおいしいでしょ?…特に朔也のミルクはおいしいんだから、鏡にぶっかけたままで誰かに呑まれたらもったいないでしょうが。さあ、舐めなさい」
誰がこんなの舐めるって言うんだよーーっ!!そう思いつつも、これ以上抵抗しつづけたら、誰かがレッスン場に入ってきて、こんな姿を見られてしまう方がよっぽど怖い。朔也はゴクリと唾を飲み込むと、鏡に小さな唇をそーっと近づけ、自分の白いミルクをペロッと舐めてみる。
「うっ…。やっぱりおいしくないぃ」
涙目で吏人に訴えると、吏人も一舐めしたことでようやく許してくれたらしく、朔也の頬に優しいキスした。
「はいはい…じゃあ、早く着替えろよ。誰が入ってくるかわかんないんだからね♪」
(誰がこんなふうにしたっていうんだよっ!!)
そう思いつつも、朔也は誰かにこんな格好と鏡を発見されたら、穴があったら入りたいってレベルじゃない。地球の内部まで掘り込んだ洞窟に一生入っていたい気持ちになるだろう。だから、いそいでスウェーターを履くと、レッスン着としてもってきてここで着替えただけだからいいかと思って脱ぎ散らかされたTシャツでセミヌードのまま鏡をごしごしとふき取りはじめた。吏人は朔也のお掃除姿を見ていてまた悪戯したくなってきて近づこうとした瞬間、レッスン場のドアが大きな音をたてて開いた。
「吏人!朔也!ちょっと、ちょっと打ち合わせの変更…」
入ってきたのは優一だった。吏人は厳しい目つきで優一を恨めしそうに睨む。その目に一瞬にして優一は凍りついた。こんな目で睨まれるのは、吏人のマネージャーになって1年目以来だ。あのあたりはずっと吏人は自分が何か失敗するたびにこんな目で睨んできていた。けれど、今日はなぜこんなに起こっているんだ!?しかも自分に。失敗した覚えもないのに…。優一はドアのノブを握ったまま固まってしまっている。吏人は容赦無く睨んでいたかと思うと、今度はレッスン場のドアからまったく反対にあるソファに座ろうと動き出してしまった。優一は猫ににらまれたねずみのような状態である。しかし、そんな状況だとは露しらず、朔也はセミヌードのそのえっちな身体をあらわにしたままで、優一の方に駆け寄って行った。
「優一さん!こんにちは」
その声に二人は別々の反応をする。
「ああ、朔也君。ダンスのレッスンしてたんだね。どうだい調子は?」
そう言ったのは優一。
「朔也!」
そう叫んだのは吏人。優一は吏人の険悪そうな声にひるむ。勝者は一瞬にして決まった。―――がそんなバトルが行われていたなんてまったく知らない朔也は、目の前の意地悪王子より仕事優先と優一に視線を戻した。
「あんまよくない…けどがんばるよ、俺。…で?お仕事ナンだっけ?」
朔也の仕事熱心さは、苦手な演技やダンスの練習を毎日欠かさないことからよ〜くわかっていたが、この態度にはさすがにご立腹な吏人は二人の側にはいかず朔也の落していったTシャツを拾い上げ、ソファで足を組んで座った。けれど優一も必殺仕事人な性格からとにかく一人でも聞いてくれるなら…と説明を始めた。まあ、もともと吏人がスケジュールをまともに聞かない人だったのもあるが。
「うん、あのね。君たちがデビューを果たすのは“音楽天国”って番組なのは覚えてるね?実は来週のでデビュー曲を披露するはずだったんだけど、急きょ今週の放送になっちゃって、明日にでも急いで撮影したいから、今日の夜…八時から打ち合わせがいきなりはいっちゃったんだ…大丈夫そう?」
朔也は放心状態で首を縦に振った。打ち合わせが今日なのはかまわない。何時までかかったってやってやるさ。でも、でも、明日が初テレビ撮り〜!?みんなの前でダンス〜!?信じらんないっ!まだ失敗するとこ沢山あるのに〜。そんな朔也の心を見透かした吏人は人知れずクスっと笑う。そして、朔也が聞いていないこともしらず説明を続ける優一の側にきて、朔也の肩にぽんっと手を置いた。
「大丈夫だよ朔也…」
「吏人ぉ〜」
急に安心したのか、朔也はようやく開いたままの口を閉じたり伸縮したりして声を振り絞る。もっと落ちつくようにと、吏人はその滑らかな手さばきで朔也の背中を下から上へと撫でてやった。
「えーと、でね次は…」
まだ説明を続けようとする優一の言葉を、吏人がさえぎった。
「ようするに、今日の七時までに事務所のオフィスにいればいいんだろ?明日のことは明日きくから…もういいだろ」
吏人の機嫌を損ねたくないのはやまやまなので、明日から6ヶ月は埋まっているスケジュールの半分は説明したかった優一だが、しぶしぶ身を引いた。
「わかった。じゃあ遅れないように。ちゃんと身体拭いて、風邪なんてひかないようにね」
優一が朔也のダンスレッスンと×××で汗まみれの身体を触ろうとした瞬間、吏人の手が優一の腕をぎゅっとつかんで、それ以上すすめないように阻止した。優一はあまりの痛さに顔をゆがめたが、隙をみて手を払うと、今度は吏人の肩をポンポンと2回叩いた。
「僕だからいいけど…今日会うお偉い方々には間違ってもするなよ。こんな態度」
「承知しました〜」
「吏人っ」
ふざけた調子で笑いながら一人シャワールームに向かう吏人の後姿に、朔也は叫んだが、吏人は手をひらひらさせて、おいでおいでと誘うだけでまったく相手にしてくれない。朔也は優一にじゃあ、また後で…とだけ伝えると吏人を追いかけた。
ダンスレッスン場の隣には広いシャワールームが備え付けられていて、一応首の高さまで曇りガラスで区切られて居はいるが、ほぼオープンで、巨大銭湯といった感じだった。吏人の浴びている隣に行くと、朔也はいそいで履いているものを脱ぎ、自分もシャワーを浴び始めた。けれど…気になるのは吏人のその肉体。綺麗に筋肉がついていて、厚い胸板は同性から見ても好感がもてた。自分が細身で華奢。どんなにがんばっても腹すら割れないからあこがれも入っているんだろう。
「吏人っていい身体してる…」
吏人は突然の朔也の呟きに、他意はないんだろうけどドキドキする。吏人だって隣のかわいい身体が気にならなかったわけじゃあない。むしろ、きになりまくりだ。だけど、意識しないように急いで浴びてしまおうと思ったのだ。もし、ここで直視してしまったらもうガマンなんてきかない。これまで吏人はさりげなアタックを続けてきていたのだが、どれも玉砕して、ラブラブ両思いにはなれていなかったのだ。つまり…二人はまだ最後の一線は越えてないってやつ。吏人の理性の線は張り詰め状態なわけだ。無言な吏人をよこ目に朔也はモザイクガラスの上から顔をちょこんと出して、そっと腕に触れてくる。
「ほら、ここの筋肉なんて特に。いいな〜格好良い」
「朔也には無理だろうね」
自分を誤魔化すように意地悪な言葉を飛ばす。
「言ったな〜!!」
モザイクガラスの中に廻って入ってきた朔也は吏人の身体にじゃれてこようとする。朔也のあの腕が、あの手が、あの足が!吏人は理性などどこ吹く風。朔也の腕をガッと掴んで壁にガツンとつけると、顔をキスできるくらいまで近づけて聞いてみた。
「朔也…俺のことかっこいいと思うんだ」
吏人がこのパターンでくると、あっちの方向に流れることを一応分かっている朔也は一瞬身をひるめた。
「お、思うに決まってるだろ。ずっとあこがれてたし」
その言葉を発したのは初めてだった。吏人は驚いていつもの俺様を失ってしまうほどだった。
「憧れてた?俺に…?そんなこと一言も聞いてない」
「恥ずかしいじゃんっ」
照れて、やってる時みたいに顔を真っ赤にする朔也を吏人は抱きしめる。裸の吏人がいきなり裸の自分を抱きしめたので、朔也はますます顔を赤に染めていく。
「り、吏人っ」
「じゃあさ…朔也は…」
「え?え?」
「俺のこと、好きなんだ」
肯定文で聞かれて朔也は困惑する。
「憧れてるって…好きに入るの?」
「入る」
ここまできっぱりいわれると否定もできない。朔也はうまく騙しこまれたような気分で首を必死に傾け考えているが、そのうちに唇を食われるように奪われてしまった。
「うっ…んんぁ…んんん」
「朔也…俺…」
吏人が俺も好き、愛してると囁く前に、朔也はその唇を恥ずかしさのあまり噛んでしまったらしく、吏人は唇から赤い液体を流し、舌打ちをする。朔也は自分の唇についた吏人の血をぬぐいながら、気まずそうに顔をうつむかせる。
「俺のこと好きなんだろ」
むすっとした表情で再び聞いてくる。聞かないでくれ〜!自分でもどうなのかわかんないんだから。さっきだって恥ずかしさで思わず噛んじゃっただけで、別に嫌とかじゃないんだって分かってよ。あれ?俺嫌じゃないってことはやっぱり好き…なのかな?
「す、好き」
朔也は目をぎゅっとつぶって蚊が囁いたのかってくらい小さな声でその愛の言葉を繰り返す。
「じゃあなんでキスを拒むんだよっ…好きならしたくなるだろっ」
一方的に起こられて、辱められて朔也はなんで俺が!!と憤慨する。
「吏人だって、俺のこと好きだなんて一言もいってないじゃんっ」
そう言い捨てると、朔也は吏人の身体の横を通り抜けシャワー室の濡れたタイルの上をダッシュで逃げ去ってしまった。吏人はシャワーのノズルを強に合わせると頭の上からザーっと浴びた。吏人は、お湯が唇に触れるたびに発する痛みよりも、強い苦しみを覚えた。今まで自分は言動でも、行動でも朔也にアピールしてきたつもりなのに、それがほんの少しも伝わってなかったと思ったのが悲しかったのだ。朔也の言葉が効力を失うほどにショックをうけていた。さっき、初めて朔也が自分のことを好きだといってくれたのに。それだけじゃ不安なのだ。もっと朔也を近くに感じたい。自分を伝えたい。朔也…。吏人は濡れた髪をかきあげ、どろどろな自分の心を見据えるかのような鏡に向かって憎たらしい表情を投げつける。
「なんて様だよ…」
今まで自分がこんなに恋愛に溺れてしまう人だとは思ったことがなかった。朔也にであって変わった…?吏人は鏡の中の自分の姿を見てふっと思う。そして、無言のままシャワーを止めると、もう朔也のいなくなったロッカー室へと歩いていった。
 打ち合わせとは偉い大人たちがあ〜だこ〜だ言うだけで、結構出演者たちは暇なものなのだ。今回もまた叱り。番組プロデューサーは企画プロデューサーに無理難題を吹っかけられて、いささかいらだち気分のようだ。何度も企画の練り直しを要求している。それに混ざり、監督もADも音声さんも編集さんも、無理に早められたおかげでぴりぴりしてるみたいだ。朔也はこの状況をどうにかしてあげたくて、一人うーん、うーんとうなっていた。それを横目で眺めていた吏人は、こんなかしこまった会議室なのに全然別のことを考えていた。さっき、朔也の気持ちをちゃんと確認できたのにHにもつれこめなかった悔しさと、朔也に触れたくて、触りたくて、そればっかし。朔也は側にいて、実は両思いっぽいのに、こんなくだらない大人たちの都合で、することもないのにこの会議室にいなきゃいけないのが苦痛でならなかった。そんなイライラ、ムラムラ(?)した気持ちで朔也を見ていただけなのに、朔也にはそれが自分を怒って睨んでいるようにしか見えなかった。
うう…。なんで睨むのさ〜。もしかして俺、さっき吏人を怒らすような事言ったかな。…記憶に無い。ってか言ってないよ、きっと。…たぶん。なのに、なんでこんなに負い目感じるんだよ〜自分。だって、悪いのは吏人じゃないか!ひ、人にばっかし言わせて、しかも…Hな事してくるし…。でも、俺…吏人の事好きなんだな…。裏切ってるって、騙してるってばれたら…吏人もっともっと怒るんだろうな。きっと一生許してもらえない。だって、ここの社長さん…白河さんは吏人の恩人だって噂だし。その人を騙してこの事務所にいるんだもんな俺。そんな分かりきってる未来があるなら、今だけは…吏人の事好きでいていいかな…今だけ。
「吏人…」
急にそんな麗しい声で囁かれて、吏人は、はっと我にかえる。なんせ、シャワーの後からずっと朔也は黙り込むし、無視するしで全然話せる状態じゃなかったのだ。現にこの部屋にだって朔也と吏人は別々にきた位だし。
「どうした?」
…どうもしないから、そんな怖い顔で見ないでくれよ〜…。ひ〜。
「吏人、顔…怖い。俺吏人を傷つけること言ってないのに…何に怒ってるんだよ。わかんない!!」
本当はこんなに酷いこと言うつもりなかった。けど、吏人はさっきからどうも呆れたようにしか俺をみないから。案の定、吏人は俺の顔見てまた大きなため息ついた。
「朔也…わかってないね」
「だから、わかんないって言ってるじゃん」
あくまで小声で二人にしか聞こえないやりとりを続ける。
「俺が…朔也を好きじゃないわけないだろ」
「え?」
吏人の顔がだんだん近づいてくる感じがして、思わず身を引く。けれど吏人の腕はその俺の背中を抱え込む感じで、それ以上後ろに下がれなくしてしまった。
「むしろ、朔也が俺のこと好きでもなんでもないと思ってくらいだし」
朔也は仕事意外はそっけないからね…吏人はいつもは見せない切ない表情で囁く。
「なんだよそれっ!」
思わず大きな声を出しちゃった気がして、俺は慌てて口に小さな両手を合わせる。けれど、会議に夢中な大人たちは全然気付かなかったみたいだ。振りかえりもしない。俺はそっと口から手を離すと、吏人を落ちついて見なおした。俺が吏人を好きじゃないわけがない。それが、LIKEなのかLOVEなのかは分からなかったけれど。だって毎日毎日幸四郎さんに聞かされつづけてたんだ。吏人はすごい子だからって。格好良くて、頭も良い。言うこと無いな…って。あの人が実は極度の親ばかだってマスコミに売ったらいくらするんだろうとか考えちゃったくらいだ。改めての言葉を待っている吏人の顔に、ちょっと戸惑いながら俺は言葉を続ける。
「俺は吏人が…す…好き…だよぉ」
そ、それ以上は攻めこんでこないでぇ。俺の必死な目の訴えに反比例するかのように吏人の目の輝きは最高潮に達する。
「だよな」
けれど俺様な態度は変わらないのね。俺はがくっと肩を落すが、それより、それよりその前の吏人の言葉を思い出す。
「ま、まって!り、吏人が俺を…どうだって?」
「は?まだわかんないのか。この坊やは」
そう言って吏人は俺の下腹部に手を這わせてきた。そして、太ももをゆっくりと上下に撫で始める。つい数時間前解き放ったばっかりなのに俺のジュニアはまた息を吹き返しそうになる。俺は慌てて吏人を睨む。
「り、吏人っ」
けれど吏人は嬉しそうに指を巧みに動かし、もどかしくもソコを間接的に攻めてくる。俺は溢れ出してくる熱い吐息と恥ずかしいえっちな声を抑えるために下がるだけ首を下に曲げ、机とにらめっこ状態。
「好きでもないやつに…触りたくなんかないね…俺は」
それって、つまり好きって事?吏人が俺を…?ちゃんと言ってよ。じゃないと俺わかんないんだってば。
「それとも…朔也は好きでもなんでもないやつに、ここ触らせるんだ?」
そんなことない!ありえない!俺は激しく首を横に振る。吏人はそう言いながら、一本だけ伸ばしている右手の小指の爪で朔也のジュニアを厳しく弾く。ようやく恥部に直接的な刺激を受けることができて、俺は快感に辱めも無く声を漏らす。
「…ぁあ…ぁうっっ!!」
ここが会議室で会議真っ最中で自分のわずか1メートル前にはこの中で一番偉い人がいることがなかったら、快感に溺れた艶めく声をあられもなく披露していたことだろう。けれど、仕事一直線(今、蛇行中?)の朔也は必死に自分のTシャツの袖をチェリーな唇で噛んでそれ以上もらさないように必死になる。そんな状態だから、辛そうな顔になっていく朔也の顔の側の小さな耳に直接唇がつくんじゃないかってくらい近くで吏人は呟く。
「そんなに…俺に触られるのがいやなのか…」
ち、違うっ、違うってば。そうじゃなくて、常識踏まえろって!
「でも、触るけどね♪」
だって、両思いなんだし…もう止める必要無いよね。にっこり笑ってそう言って今度は手をズボンの中に入れてくる吏人を、俺は本当にこれでよく人気ナンバーワン俳優なんかでいられるなとしげしげと見てしまう。吏人の手はそんな俺の思考を全てかき消すように、下着の上から俺のジュニアをかぽっと掴んでしまう。吏人の片手にかわいく収まってしまうのが悲しい。
「ひゃぁあんっ」
俺はうっかりTシャツから口を離していたので、思わず悲鳴に近い声を上げてしまう。すると目の前の大人たちがいっせいに自分のことを見ているような気がしてきた。俺は吏人の右手を両手で必死にそれ以上進ませないように抑えると、ドキドキしながらおじさまがたを見つめた。けれど、用件は別にえっちな声が聞こえたからとかじゃなくて、俺を呼んでいるようだった。俺はズボンの中から急いで吏人の手をやや乱暴に抜き去ると、吏人の方はまったく見ず、俺を呼んでいるというプロデューサーの元へ駆けていった。
「こっち、こっちにおいで」
監督だろうか、初めて見る中年のおじさんの前に通された。その中年男、この企画番組共の最高スポンサーの高木というらしく、つまりかなり偉い位置にいるのだ。態度もそれを表しているようだった。おおっぴらに股を広げ、足を組み、高いスーツをまるでダメに着こなしていた。朔也はこんなおじ様を見るのは珍しくなかった。むしろ、こう言う人たちの方が、友達と会うより多かったかもしれない。それは、自分の家が芸能事務所だという珍しい境遇のせいだけど。だから、いきなり目の前に呼び出されてあちこち触られて、誉められて、いやらしい言葉を発せられても、ニコっと笑ってれば良いことを十分承知していた。
「君が…野ノ原朔也君かぁ…かわいいね」
かわいいって言われてうはうはする男は危ないと思うけどなあ。
「嬉しいな。木さんにそんなこと言ってもらえるなんて」
「…聞いていた通りの…美声だ…」
処世術として身に着けたこの技。自分でやってて身震いする。よく平気だねぇ、自分よ。
「ハハ…嬉しいのはこっちだよ〜」
木はいきなり朔也の腰を両手で自分の方へ引き寄せると、背中から腰にかけて撫でるようにやさしく触れてきた。なんとか払いのけようと差し障りのない言葉で優しく手をどかしにかかる。
「やだ〜…やめて下さいよ〜。俺なんて去ってもつまらないですよ」
そう言って木の不穏な動きを続ける手にそっと手を重ねて手を離させるつもりだった。けれど、予想に反して高木は朔也の手をガッと痛いくらいに掴んでしまった。朔也の女の子みたいな身体のフォルムを触ったのと、噂の艶かしい美声でほろ酔い気分にでもなってしまったらしい。冗談抜きで結構ヤバイってこの人。
「ほら、もっとこっちおいで」
「ちょ、ちょっと〜、や、やん…」
さすがのプリティフェイス(作り顔)もくずれる。なぜなら今度は腰よりも少し位置を下げて触ってきた。つまり…お尻。さっきまで吏人に前の方をいぢられてたこともあり結構身体が敏感に反応をしてしまう。朔也はビクンと身体をよじってしまった。もちろん声こそ出してはいないけど。けれど、その反応は発情したオスには理性をぶっ飛ばす効果があったらしく、今度は朔也の頬に手を這わせて、顔にかかった髪をそっと掻き揚げる。朔也は腹の中でやめてくれ〜と叫びながら平気な顔ですごしていた。あと少しガマンすれば終わるんだし。けど、それを平気な顔で見ていられない人物がこの会議室に一人。―――吏人様です。吏人は目の前の長テーブルをバンっと音を出すと、座っていたパイプ椅子を壊さんばかりにたちあがり、朔也の側にずんずんずんと恐怖の足音を立てて向かってきた。そして、朔也の手を高木から奪い取ると無言で会議室を後にした。その後残された人たちが必死になって高木にペコペコするハメになるなんて考えてもいなかった。
 「吏人吏人吏人〜っっ!!!」
朔也はさっきの高木よりも強く握られ引っ張られる腕を少しでも痛を和らげようと、吏人の歩調に必死に合わせてついていく。けれど、吏人がどこに自分を連れていこうとしているのか予想がつかず恐怖に陥り、思わず叫んだのだ。けれど、無言の応対しか返って来ない。朔也は自分のセクハラに耐えてまで機嫌をとろうとしたことを無碍にされたことと、無視し続けられる事に腹が立ち、一人攻めたてる。
「どこ連れていくんだよっ」
「…」
「ってか、何でまた急に出てくんだよっ。きっと今ごろみんな大変なことになってるよ」
「…」
「吏人が何かされたわけじゃないのに、何起こってるのさ」
「…」
「俺なら平…うっわぁあ!!」
平気といおうとした瞬間、吏人はいきなりいつのまにか連れこまれたダンスレッスン場の中から、シャワールームへとドンっと押されて倒れこむように入れられてしまった。シャワールームはついさっきまで誰か使っていたのだろう。床はびちょびちょに濡れていたが、二人以外誰もいなかった。置きあがろうと、濡れた壁を触った瞬間、上から熱いシャワーを思いきり拭きかけられる。いや、ぶつけられる…勢いだ。息も絶え絶えになり、苦しくなって必死に吏人の足にしがみつき、呼吸を求める。すると、吏人はシャワーを少しだけ弱くして、壁に掛けなおすと全体中を朔也にかけてきた。朔也は押し倒される形でシャワールームのタイルの上で仰向けにされてしまった。そして、その瞬間シャワーのお湯で濡れた吏人の顔が朔也の顔に急接近してきた、と思った瞬間唇を重ねられ、奥の置くまで舌と吏人の蜜で犯される。
「ふぅっ…ああぁんんん…んぁ」
お湯のおかげで火照ってくる身体に、ますます熱を注いでくる舌を必死に押し返そうとするが、吏人の下は乱暴に口内を這いずり回る。
「やだぁ…やめろって、ああん、やぁん」
口淫されただけで、さっき煽りに煽られた欲望が復活する。朔也は吏人をどうにか自分の上からどけようと、顔を左右にゆすったり、身体をねじって動かしたりして努力はしてみるものの、がっちり固定されていてなんの効果も無い。吏人は朔也の耳をがちっと自慢の白い歯で噛んだ。
「痛っ…」
耳をとっさに抑えると、赤い液体が指に絡まっている。吏人はそれを指についた分も綺麗に舐め、再び傷口に口を這わせ開くように舐めてくる。その痛みの刺激に朔也は苦痛の表情をあらわす。
「痛いってば…あぁん…や…やんやん」
痛いのに、痛いのに、その行為自体が怪しいこと、えっちなことだと考えるだけで、身体は勝手に反応を示す。そんな朔也の羞恥にゆがむ表情を見てようやく吏人が重い口を開いた。
「朔也ってば…痛いのも好きなんだ」
違う〜!!ありえない!!誰かこの男を止めて!
「そうだよなあ…あんなエロオヤジに触られて喜んでるんだもんな〜?」 
「なっ…」
きっぱり否定するために叫んだのに、自ら口を噤んでしまった。なぜなら、吏人の目が氷のように冷たく、灰の色をしていたから。まるで生きていないみたいに。何にも言えなくなり、手は拘束され身体での抵抗もできなくなり、朔也は恐怖で身体を固める。吏人は相変わらず表情を変えず機会のように襲ってくる。固く噤んだ朔也の唇を無理やりこじ開けるようなキスをしてくる。
「んんーーんっ!ふぁっ…んん」
朔也は唯一の抵抗にと必死に口を閉ざす。しかし、それは吏人の怒りを誘うだけだった。
「へえ…俺とのキスも嫌なんだ」
そうじゃないっ!でも、こんなキス誰だって嫌だってば〜!瞳からはしだいに熱いものがこみ上げてくる。どうして伝わらないんだろう。このやっかいな気持ちが。朔也が泣いているのに気付いて、吏人はソレを綺麗に舐め、飲み干す。そして、耳元で恐ろしい言葉を呟く。
「これくらいで泣いちゃ困るな…本番はこれからなんだから」
吏人は朔也の身に着けていた衣類を乱暴に剥ぎ取る。Tシャツは悲鳴のような音をあげ破れ、胸元をあらわにする。それに驚き拘束されていた手を激しく揺さぶりピンク色に色めく胸元を急いで隠したが、今度は無防備な下の服を脱ぎ取られる。白いブリーフの下着も一緒に下ろされてしまい一瞬にしてその生まれたままの肢体を目の前の狼にさらすことになってしまった。怖いっ怖いっ怖いっ。こんな吏人を俺は知らないっ。いつもいつもお仕置きって言っても、気持ち言いことしかしてこなかったのに…今回は違うっ!朔也は身をかがめるようにして、なるべく身体を見せないようにする。吏人は怯える朔也の気持ちなんて気にも留めず、胸の突起にしゃぶりつく。
「っあん…ぁあーん…」
固くなった身体にその刺激は電撃のごとく走った。いつもの吏人ならそれを見て至福の笑みを浮かべ、朔也の性感帯を攻めつづけるのだが、今回は違った。身体を仰け反るようにして吏人を待つ胸元を吏人はそれ以上触れようとしなかった。
「はぁ…はぁ…り、吏人ぉ」
もどかしさに酷いことをされつつも自ら吏人を誘う態勢を取ってしまう。その声は普段の100倍は怪しく、色めいて男のそれを誘う。なのにその要求にはこたえず、吏人は朔也のひざを立たせガッと左右に広げると自らの身体をその中に置いた。
「何っ!?」
初めての態勢に朔也は快感忘れ再び恐怖の表情に戻る。だって自らの恥部を吏人にばっちり見せる形になっているんだもん。恥ずかしくないって方が、怖くないって方がどうかしてる。朔也は足をばたつかせたり、キックをしてみたりして吏人をそこから追い出そうとするが、足はちゃんと吏人の手で抑えられているため、全然びくともしない。
「吏人っ吏人っ!!止めて…怖い怖いっ」
喉がちぎれるくらいに叫ぶ朔也に、さっきとは比べ物にならないキスをする。怖いくらいに…優しいキス。始めは唇に触れ、熱をじっくりじっくり伝えていく。そして、自然に開いてくる朔也の口の中にそっと舌を滑り込ませる。朔也が逃げるように舌を避けて廻る口の中に、少しの強引さもない舌で快感を練っていく。
「ぅんん…吏人ぉ…ぁああん…んっ」
朔也は口の中のひそやかな抵抗を止め、自分の好きな人の舌に自分の舌の先を合わせてみる。とろけるように熱い…。ねとっとした蜜の感触に嫌悪感と、快感が入り混じる。
「っはん〜あぁん…ふぅっ」
「朔也…」
「り、吏人ぉ」
「朔也…朔也」
吏人は切なそうに壊れるくらい悲しい表情で俺を呼びつづける。耳元で、口元で、胸元で。吏人はぼーっとなりかけてる朔也の鎖骨に吸いつき、ピンクの証をつけると舌を胸元からジュニアまで蜜をなぞりつけていく。熱い熱い吏人の蜜は流れ、朔也の性感帯をかすかにつく。
「ふっ…ひゃぁんん」
朔也は身を捩ってもっともっとってやってみるが、やっぱり吏人はそれ以上はやってこない。焦らされる身体は、変に欲情してくる。朔也のジュニアもすっかり勃ってしまって、隠すもののないそこは吏人に見せびらかすように震える。羞恥に溺れ、朔也は顔を真っ赤にさせる。
「嫌だぁ…吏人…こんなの…んあっ…はぁん」
吏人は朔也の言葉など何一つ耳に入れず、その代わりにジュニアをかぽっと口でくわえてしまった。
「〜〜っや、やぁあん!!!」
シャワールームに響く朔也の美声は、絶えることを知らない。吏人の口内から流れ出る蜜と、朔也のジュニアからこぼれ出てきているミルクとがそこで交じり合い、朔也の思考回路を狂わせる。
「だ、だ…めっ…んん…離してぇえ」
ちゅぱちゅぱっと言う恥ずかしい音を発てて、そこを舐め、攻めつづける吏人の頭を押しのけるように髪を掴む。
「出…ちゃう…から…お願い…離し、てぇ」
限界っ!そう思った瞬間、まさに達くとおもった瞬間、吏人は朔也のジュニアの根本を親指と人差し指で丸めたわっかできゅっと閉じてしまい、達かせないようにしてしまった。
「吏人っ!?」
うるうるとした涙目で大変なことになっている下半身を楽にしてくれと訴える。
「ふっふぅ〜っ…達かせ…て…おねがい…んぁっ」
そう懇願する口の中に、吏人は容赦無くもう一方の自分の手を押し込む。いきなりでびっくりした朔也はごもごもと咳き込む。しかし吏人は奥の奥まで指を突っ込んで、舌を無理やり絡ませるように指の動きで命令してくる。口から溢れた朔也の蜜が、朔也の首元に光、落ちていく。それすらもったいないといわんばかりに吏人はすくって指に絡めつかせる。
「り、ちょっと吏人…ふっ…な…ん」
(何でこんなことするんだーー!?)
意味不明の行動に朔也は少ない脳みそをフル活用して考える。けれど、どうしてもよくわかんない。わからないといえば最初からだ、なんで吏人が怒ってるのかも、なんでこんな無理やりな感じでえっちしてるのかも、今の行動も。
「何で…こ…んな…んんっ…こと〜」
頬を伝う涙はその跡を残すくらいで、もうどれくらい泣いたのかさえ覚えてない。男の子なのに、男の子なのに…。同じ男が怖いなんてっ。
「何で…って教えてほしい?」
冷ややかな声で囁く吏人を見ずに、朔也は首を上下にコクコクと動かしうなずく。クスっと笑う吏人の口元がチラリと見える。
「じゃないと朔也を壊しちゃうからね」
―――え?朔也がその意味を考える間もなく、吏人はその濡れ濡れになった人差し指を朔也の秘密の入り口へ勢い良く突き刺す。
「やああああああああーーっ!!!」
昔自転車の乗る練習中に腕を誤って折った時よりも、中学の時の調理実習で指を熱ビンビンに発しているフライパンに思いきりつけてしまった時よりも、何百倍も何千倍も大きな重圧、痛みが朔也の下腹部を襲う。
「痛いっ痛いっ痛いいい」
身体の苦痛に加え、どこに何をされてるのかがみるみる分かって、恥ずかしさで心まで痛い。吏人がこんなことをするなんてっ!
「嫌だぁぁぁ!嫌いだぁ吏人!吏人!」
指が中指、薬指と増やされると痛みも倍に倍にと増えていく。朔也は身体を痙攣しているかのように小刻みに震わせ切なげな嘆きの喘ぎ声をもらす。その間も吏人は朔也のジュニアを達かせないようにしながら扱きあげ、秘所の中に挿入中の指を突き上げたり、まわしたりしてそこを広げていく。
「あああああっ…はぁ…はぁ…」
朔也がようやく呼吸を取り戻し始めると、吏人は指を一本また一本と引きぬき、開いた手でジーンズのジッパーをジーッっと下ろし、下着の中から盛りがついて大きくなっているそれを抜き出した。
「ひぃ!?」
朔也がそれを見止め、呼吸に混ぜてかすかに悲鳴をこぼしたその時、吏人は朔也の腰を持ち上げる形をとった。
「俺のためだけに、その声で鳴いてくれよ…」
「へっ?え?」
「今から楽しみだ…朔也の顔が俺の欲望で至福にゆがむんだからな」
吏人はそう囁き終わると同時に、その逞しく猛った欲望をずぶずぶっと言う音をたてて朔也の秘所に押し込んだ。さっきいくら指で広げていたとは言え、太さも長さもケタ違いに違うそれを挿入されて、朔也は身体をバラバラに砕かれるような衝撃を受ける。
「あっあっっあああああああぁぁぁああ」
「いいね…その声」
「くぁあああん…嫌ああああああ」
吏人が腰を動かすたびに中のそれも反応して仰け反る。朔也はそのたびこの世の最後のような叫び声をあげる。幸いこのシャワールームも、ロッカールームもダンスレッスン場も誰もいなかったからよかったものの、声はそこまでしっかり響いていた。
「やだあぁぁぁああ!!怖いよう!!怖いよぉぉおおおお」
熱い!吏人と繋がったところが焼けてしまうくらいに熱い。快感なんてないこの苦痛だけの地獄がいつ終わるのかそれだけを考えて耐える。意識を飛ばしてしまおうと思うたびに、それを感じ取った吏人に思いきり突かれる。
「――っ痛ぁ!!ひゃあああんっ!!」
「俺のことだけ…考えなくちゃ」
お願い…もう止めてぇ!なんで俺こんな目に合ってるのさ。酷い吏人…嫌いだ嫌いだっ大嫌いだ!!!
「吏人なんか…だ、大嫌い…嫌い…嫌いなんだからあ!ああああっ」
そう言った瞬間、吏人は朔也の目をじっと見つめてきた。またさっきの切ない表情だ。こんな顔されちゃ、なんだか悪いこといった気がしちゃう。でも、でも、俺にこんなむごいことさせて苦しめてるのは吏人じゃないかっ。酷いよ…そんな目でみるなんて。
「嫌いでもいい…けど…」
けど…?それを聞く前に俺は自分の抑えられたジュニアの付け根を離され、吏人のお腹に思いきりミルクを放つ。
「ぁああん…ふぁあんああん」
苦痛だらけだった朔也の身体に、気持ち良いって感情が入ってくる。それと同時に朔也の中でも吏人の何かが弾け、中で水風船を割られたようにびちょびちょに濡れる。
「あああ〜〜〜〜っ!!…」
俺は『けど…』の続きを聞くことなく真っ白な世界に飛びこんでしまった。
ボーっと暖かく柔らかい意識の中にいきなり現実の下腹部に痛みが襲い意識を急速に戻す。でも、状況ははっきり把握できない。えーっと…俺どうしたんだっけ??確か、いきなり予定変更で明日撮影になって、その打ち合わせをしてて、偉い人にセクハラされて…っ!!朔也はシャワールームで吏人に受けた屈辱的で卑劣な行為を一瞬にして思い出して顔を赤くする。でも、辺りを見回してみてもここはどうもシャワールームではない。ここは吏人のための事務所に備えられた自室だ。そして今は二人の部屋になっているおなじみのあの部屋だ。あれ?っと朔也は首を45度傾ける。でも、あれは夢じゃないことを処女地の痛みで思い知らされる。ここが二人の部屋って事は吏人が近くにいるんじゃないかと慌てふためき、寝ていた(寝かされていた?)ソファから急に身体を起こしたせいで痛みを倍増してしまい思わず悲鳴をあげる。
「っ痛…!!」
すると、頭の上から今最も憎らしい男の声がする。俺の相方で俺の貞操を強姦で奪った丹羽吏人だ。
「馬鹿だな…寝てろよ」
俺は恐怖でその身を震わせるが、その心内を知られたくなくて自分の上に掛けられていたタオルケットをぎゅっと握って、キッと吏人を睨んでみる。吏人はやれやれ…という表情で俺の目の前にコーヒー(俺用にちゃんとミルク3杯、砂糖2個入れてある)を差し出した。しかも、しゃあしゃあと俺の前でコーヒー(ブラック)を飲む始末だ。
「身体は平気…みたいだねその様子じゃ」
平気じゃないってばっ!壊れるかと思ったんだぞ。
「吏人…お前ってば何したかわかってんのか!?犯罪なんだからな」
俺は強がって攻めてみる。さっきあんなに力の差を見せ付けられたのに。
「犯罪ねぇ…でも俺のこと好きなんでしょ?吏人」
「好きじゃないっっ!!」
無理矢理やられる前は、大好きだったことなど頭の隅にすらもうない。
「あれ?そうだっけ。まあ…いいや」
吏人は本当にどうでもよさそうにコーヒーを飲みつづける。どうでもよくない朔也はそのものすごく痛む身体をなんとか持ち上げ、狼君の前にその身を差し出した。普段は吏人は俺より15センチも身長が高いから見下ろされてばっかりだけど、今は吏人がソファに越しかけているおかげで、俺がちゃんと見下す形になっているので少し強気に攻めてみる。
「なんで…あんなことしたんだよ…」
酷いよ…。俺のあんたに憧れてた数年間を返してくれぇ!!
「なんでって…」
吏人は俺の頬に細く長いいやらしい指を這わせてくる。俺はさっきのことを鮮明に思い出して、きゅっと目を瞑ってしまう。
「嫌いなヤツにキスすると思うか?嫌いなヤツの身体触ると思うか?嫌いなやつを…やきもちで強姦まがいなことすると思うか?」
吏人は是以上言わすなよという表情をする。朔也はきょとんと目を見開いて戸惑う。―――え?吏人がやきもち…って?それって…え、え??その意味がじわじわと鈍感な朔也の恋心を突いてくる。それって…吏人が俺を…すきって事?驚きと、自分でもよくわかんない不思議な嬉しさで胸がいっぱいになる。
「え…あの…わ、わかんないよ…口で言っ…んんっ」
言葉を求める朔也の唇が吏人の唇で奪われる。すごく奥まで突くのに、言葉はないのに、苦しいのに吏人の気持ちが伝わってくる、熱い熱いキス。朔也は泣きはらした目に再び涙を浮かべる。けれど、嫌だから泣いてるんじゃないよ。もどかしい…変な気持ちでドキドキが涙になって現れちゃうんだ。
「んぁあ…り…吏人ぉ」
吏人は切ない声を上げる朔也の唇を何度も甘噛みしてその声をねだる。
「朔也…言って…まだ、俺のこと嫌い?」
「ふっんんぁあ…はっ…ぅうん」
吏人の舌が朔也の口腔中をなぞるせいでうまく返事ができない。それなのに、早急な返事を求める吏人は矛盾してる。
「ね、朔也…」
普段俺様・何様な態度の吏人がこんなに子供のようにねだる姿が朔也には愛しく感じられてくる。俺、この目の前の男の事が好きなんだ。大好きなんだ。愛しくて、愛しくてたまらないんだ。そして、吏人もきっと俺のことそうなんだ。好きで好きで好きすぎて言葉だけじゃ表しきれなかったんだね。朔也は吏人から少しだけ唇を離してもらうと、吏人の頬に軽くキスをしてみる。それは、朔也が初めて自分から吏人にしたキスだった。いつも何があっても余裕をかましている吏人には珍しく意表を突かれた表情を朔也にむける。朔也は吏人に向かって取っておきの声を飛ばす。それが、今までで最高に色っぽく、艶を出していたなんてしらなかったけれど。
「…す…き」
キスまでしておいて、恥ずかしそうに伝える朔也のその純粋さが吏人の欲望を揺さぶる。そして、いきなり普段の吏人に戻る。
「やっぱり☆」
さっきまでの最高のムードをぶち壊しにされて、朔也はあっけに取られる。
(や、やっぱり〜!?ってなんだよそれぇ)
吏人は朔也の腕をがっちり掴んで、にま〜っとした表情をまぶしげに飛ばす。朔也はいや〜な予感でいっぱになって顔を引きつらせる。
「じゃ、しよ」
予感的中…。ってか、たぶん今俺の立場にいたら誰だって当てられたであろう超イージー問題なんだけどさ。俺はさっきので身体がめちゃめちゃでそんな気分ではないから、一応嫌がってみる。なんで一応かって?だって、絶対無碍にされるにきまってるじゃん。相手はこの吏人様だよ?
「ちょ〜っと待て!待てってばあ」
俺はいつのまにか組み敷かれた、ソファに押し倒されてる状態で、上に乗っかって、濃厚なキスを迫ってくる吏人の顔をそれ以上近づけないように手でぐぐぐ…っと押し返してやった。それが両思い記念Hをしようとはりきっていた吏人には不満だったらしく、ムスっとした顔でなんだよって聞いてくる。なんだよってお前〜〜。
「俺…怒ってるんだからな…一応」
「怒ってる?」
「しゃ、シャワーでの…事…」
ゴモゴモと言葉を濁す俺に、ああ…あのことね、と普通に対応してくる。
「俺は謝らないよ」
「んなっ!!」
理不尽な回答に、俺は押し込まれた感情をあらわにする。
「だって、悪いの朔也じゃん。俺のこと好きって言ったくせに、あんなオヤジに身体触らせて…」
「あ、あれは仕方ないじゃん…偉い人っぽかったし」
「それになんか感じてなかった?」
こういう風に触られた時…って言いながら吏人は俺の腰を指を巧みに使って撫でていく。こ、こんな怪しい動きはさすがにしてないって!!
「違っ…あれはその前に吏人が悪戯してたから…」
あれ?これって間接的に吏人の手に感じてましたってしゃべってない?俺。俺すらそう思うんだから、吏人がそう思わないはずがなかった。最高って感じの表情で俺の耳を甘噛みしてくる。
「っあ…」
「じゃあ、今回だけは許して上げる」
許して上げるだ〜!?本当に何様なんだか…この男。でも、その男が愛しくて、感じちゃう俺も十分何者!?って感じなんだけどさ。
「次から他のやつに触らせたら…もっと酷いお仕置きだからね」
あ、あれ以上に恐ろしいことって何ですか…。知りたいような知りたくないような。いや、されたくない!絶対に…。俺はもうコクコクっと素直にうなずくことしか出来なかった。
「じゃあ、しよ☆」
結局それかっ!俺は身体をよじって逃げ出そうとするが、その動きがかえって吏人の熱くなり始めてる欲望を擦ってしまって刺激を与えることに。それのお返しとでも言わんばかりに、吏人はあつ〜いねちっこいキスを俺の口内に押し込んでくる。
「んっ…ふぅ、ぅあん…ふっはっ」
「それと…もう一つ」
「えっ?んん?…ぁああん」
吏人は唇を俺の熱で潤む目に押し付けてから、舌を耳まで這わせて耳の中で囁く。
「その声もあんまり聞かせちゃダメ…」
無理くさいです。それ。俺にしゃべるな、歌うなって言うの?先週レコーディングしちゃったから後数日で俺の声が入ったCDが全国のショップで簡単に手に入っちゃうんですけど。
「その声…発情しちゃうから」
はい〜!?そ、そんなこと言われてもわかんないんだけど〜…。朔也ははまん丸にした目をそれこそ落すんじゃないかってくらい見開いて吏人を見た。けれど吏人はそれ以上何も言わず、首筋にねっとりと舌を絡みつかせる。実は朔也、タオルケットの下はパンツのみのセミヌードだったので、簡単に上半身の胸の突起を指でいじられる。ピンッと弾かれると、朔也のそこはかわいらしく反応をする。それに合わせて変化する表情と、ますます色香を増す声に吏人は楽しくて、嬉しくてたまらなくなり、もっともっといろいろしたくなる。
「ぅん…あっ、あっあぁん」
胸の突起がツンと尖がって、ピンクに染まり始める。吏人はわざと朔也の突起物を少しだけ強くつねってみる。朔也は苦痛と快感の混じった、甘美な声を上げる。
「あぁあん…ふっ…ふぁぁん…り、吏人ぉ」
吏人に酷いことをされても、焦らされても、どうにかして吏人を求めてしまう。吏人の呼吸と合わせて自分も身体を揺るがしてしまうのが悔しい。朔也は目から涙を少しこぼす。
「朔也…朔也のここかわいい…」
「吏人ぉ…」
「本当に誰にも…触らせるな…よ」
「り、吏人…う、ん…」
朔也の返事を受け取る前に、吏人は朔也の胸の突起にしゃぶりついた。
「ひゃああんっ…り、吏人っ、あぁ〜ん」
舌と指で何度も何度も攻めてくる。指が優しく弾けば、朔也はかすかな反応を返し、舌が荒荒しく動けば、朔也も過激に反応した。吏人はもっと朔也の素顔が見たくて、その手を胸から唯一朔也が身に着けている白いブリーフへと伸ばす。そこはもう半勃ち状態で、下着の上からでも膨らみが容易にわかる。吏人がそこをツツーっと撫でてやると、ぴくんっと元気に動く。朔也は恥ずかしさでその顔と口を押さえる。
「その手…はずして」
「い、嫌だ…んぁっ…はっはっ…はぁ。恥ずかしい…」
必死に口を押さえてはいるが声はその隙間を掻い潜ってもれてくる。それが何とも言えず欲望を誘う。吏人は無理やり朔也の手をはずすことはやめて、朔也の下着をするすると脱がしてしまう。そこにはまだ幼さの残る朔也のジュニアがヒクヒクと微動していた。吏人はそこを直に手で触れる。朔也は自分の心臓の音が世界中に知れまわってしまうんじゃないかとドキドキする。吏人が自分のジュニアに触れて、扱いている。ずっと見つづけてきたあの吏人が!吏人が出たドラマがあれば毎週幸四郎さんとあーだこーだ言って評論して、結局誉め殺しになっちゃったり、吏人が出た映画があれば、幸四郎さんと何回も見にいったあと、必ず一人で十回は見に行った。そして、面白い場面では毎回大笑いして、泣かせるシーンでは座席をぐしょぐしょにしちゃうほど泣いたりもした。朔也の世界は、兄である鞠也と父直彦、そして吏人に大部分を染められていた。鞠也の敵討ち…と言い出しても、吏人がいなかったら違う方法をとっていただろう。騙す事にはなっても、吏人を見てみたかった。吏人と一緒に仕事をしてみたかった。…こんことまでしちゃうとは思ってなかったけどぉ〜…。
「り、んぁ…吏人ぉ…やだ…やめて…」
俺は吏人の手の中で絶頂を迎えてしまうのだけは申し訳なくて嫌で、必死に飛び出てくる欲望をガマンさせる。
「どうして…?」
「は…恥ずかしいぃ」
本当に、本当にやめてくれえ!今にもGOGOヘブンって気分なんだから!一人で射くなんて恥ずかしいよ〜!強情に言い張り抑える朔也にだんだんイライラしてきた吏人は、そこをかぽっと銜えてしまう。
「ひゃあぁぁあああん!!」
いきなりそこを熱い口内で抑えられ、舌で遊ばれて、どうにもならないジュニアではない。最高にまで仰け反ると、先端から白いものを滴らせる。それが、吏人の喉に入っていく感覚が痛いくらにわかって、羞恥に溺れる。
「やだぁ…やだって…吏人!」
そこから口を離してくれ―――!
「出ちゃうから、出ちゃ…っっ!!」
「出して…」
吏人は最後の攻めに…と手で上下に扱き上げながら、先端をチロチロと舌でいぢめに入る。
「あっ、あっ、んああ――〜っ!」
吏人がちょうど銜えなおした瞬間、欲望を投げ出してしまった。
 「気持ち良かった…?」
恥ずかしさと、疲れでぐったりとしているピンク色の顔を覗きながら吏人は囁く。それどころじゃないんだってば〜…。お願いだから、今はそっとしといて!朔也の懇願も何か大きな壁が二人の間にあるかのようにまったく届かない。いや、吏人の方にフィルターが備えられているのか?良い時は通して、悪いときはとめるような…さ。朔也が、もう知らない!っと寝たふりをしようと身を翻したが、吏人はさらにくるっとまわして元に戻してしまう。
「り、吏人!?」
吏人なら、休ませてくれるだろう…と安易な考えを持っていた朔也君にはびっくりな出来事で、両手もちゃっかりとられてしまった。
「一人天国に逝かれてもな〜…」
そう言われて朔也は吏人の自分より遥かにビックなマグナムを見てしまう。
(う…た、確かに…)
吏人のそこは猛ったままだ。むしろ、さっきより少し大きくなってない?ってか、下着じゃなくズボンの上からなのに、こんなに分かっちゃうってことは実際はもっとすごいんじゃないの?同じ男としてそうなった時やりたいことは、一つ!心情御察し致します、って感じだ。
「わかった?俺も天国に逝きたいの」
「う、うん…」
嫌な予感。それよりもっとはっきりしてる。嫌な雰囲気。
「じゃ、続き…しようね」
(ええーー!?ま、ま、まさか)
朔也は簡単にひざを開かれてしまったおかげで、丸見えなジュニアとその奥のつぼみを両手で隠すと、真っ赤(いや、真っ青か?)の顔を吏人にびくびくしながら向けた。
「そ、それを…こっ、ここに!?」
「さっきもしたじゃないか…」
ちょっと強引だったから痛かったかもしれないけど…そう付け加えて、しゃあしゃあと言う。ちょっとどころじゃない、あの痛みは一生味わうことがないだろうと思っていた出産の痛みくらいあるんじゃないか…とふと考えてしまったくらいだ。同い年で親友だった女友達が17歳で早々と出来ちゃった結婚をして、出産に立ち会った時言ってたっけ。
『鼻からスイカが出るくらいの痛みだって良く言うけど…あの痛みはスイカじゃ収まらないわね!』
『じゃあどれくらい??』
『うーん!鼻から動く出刃包丁出す感じ』
それは痛そうだ…本当男でよかったとかマジに思ってしまった。そ、そうじゃなくて!!それくらいの痛みを味わった気がしたってこと。確かに、出したわけじゃなくて突っ込んだんだけど。自分で言ってて恥ずかしくなる。あれ?なんで恥ずかしいのさ、怖いの間違いでしょ、自分!必死に拒む理由を見つけようとするが、さきに逝かされちゃったこともあるし、恐怖よりも快感を求める欲求にまけそうな自分の欲望もあるしでなんだかんだで、ひざを緩めてしまう。
「そうそう…よく出来ました」
まるで、赤子かペットにでも言うようにあやしながら言う吏人に多少腹も立てつつ、俺は吏人のなすがままって感じ。流されてるって言うのかな?これって。朔也がそんなことをもんもんと考えている中、吏人は朔也の秘所にマグナムを押し付けるのではなく、もっと身体を下げ、朔也のつぼみにその綺麗な美形顔を近づけてきた。
「うっ、うわっ…吏人!!…あんっ」
吏人の舌がつぼみの外壁をなぞり、ヒクヒクとそこが疼く。吏人はさらにその熱い蜜でいっぱいの舌を中へ進めてくる。一瞬の拒否の後、舌はぬるっとした音を立てて中に入っていく。
「んっ…やっ、気持ち悪い!!」
「ウソつきだな…」
実際朔也はそんなに気持ち悪くなかった。じゃなかったら、さっきぶっ飛んだばっかりの朔也のジュニアが再び膨らみ始めるわけがない。吏人は朔也の先っぽをツンっと弾いてそこを促す。
「ふっ…」
声が…。おかしい、おかしいって俺。今まで自分でやる時ってそんなに気持ち良くなったことってなかったのに、吏人にしてもらってると撫でられただけでビンビン戦闘準備OK〜って感じになっちゃうのだ。吏人が絶妙な舌使いで、内の朔也のイイトコロを攻めてくる。吏人の口内から舌から蜜が伝わり、それが朔也のつぼみに入り良い感じに濡れてくると、頭を上げ、朔也のほっぺにキスをする。
「朔也…痛かったら言えよ」
「ん…?」
優しい言葉に素直にうなずく。吏人はそれを見届けると、朔也の中にいきなり二本、人差し指と中指を挿入する。秘所はぬるぬるに濡れているおかげで、簡単にそれの進入を許すが、やはり痛みはあるようだ。朔也は眉の間に縦じわを作り、苦しげな表情をする。それがなんとも言えず色っぽかったり☆
「ふぅっ…ん〜んんっ!!」
朔也は閉じたままの瞳の中にうっすら涙の膜をつくる。それをこぼれるのが見えないように、必死に目を閉じつづける。
「朔也…朔也…」
指先を巧みに操り、ちゅぱちゅぱとしたいやらしい音をたてつつ優しいボイスで耳元に囁く。何度も何度も切ないくらいに名前を呼んでくる吏人の声は、朔也の中の性感帯をくすぐる。
「んっ、んっ…ぁ吏人、吏人」
痛みが少し和らいで三本目の指を許した朔也のつぼみに吏人は至福の笑みを投げかける。
「そ、そんな場所に笑顔の…安売りしなくて…いいから」
「安売りなんて…この笑顔はここのタメにあるんだよ」
だから、恥ずかしいってそのセリフ。こんな笑顔見たら、どんなスポンサーもプロデューサーも仕事をぽんぽん、頭下げてでもお願いしてでも、やってくださいってって持ってくるんじゃないかな?でも、吏人にはマジに仕事より朔也のココをかわいがる方が大切らしく、甘い甘〜い口付けをちゅう〜っと言う音までオプションでつけてしてくる。
「あっ、ぁあん…」
朔也の甘美な喘ぎ声が部屋を走りまわる。もう頭の中は真っ白で、何も考えられない。吏人の指がそこを十分に濡らして、感じさせて、あっさり抜かれてしまうと、さっきとは比べ物にならないくらいに、つぼみ内がうずく。物足りない、何か欠けたものでもあるみたいに。吏人はさっき最愛の朔也にしてしまったにしては少し酷いことを思い出し、自分を攻める。あれがなかったら、今すぐにでも簡単に射れて、動かして、腰を回すのに。さすがに気がとがめる。吏人は朔也の頬に手をまわして、ぼーっとしている朔也の意識をこっちに向かわせる。
「…していい?」
俺様な態度とは一変。朔也を優先しようとするその吏人にジーンと熱いものが感じられる。朔也はあの怖さはどこふく風、二つ返事で吏人を待ちうける。
「いいよ…来て」
「朔也!」
吏人は自分のマグナムを朔也の中に一気に投入する。実はもう限界だったのだ。それに、あんな男心をくすぐる甘〜いボイスで、あんなこと喘ぎ声と息遣いの中囁かれちゃったら、いっちゃうっしょ?男なら。
「ああーーーーーっ」
予想はしてたけど、それより大きな衝撃が朔也の下肢を襲う。抑えてた涙は自ら飛び出してくるようで、とめることができない。つぼみの熱と痛みで身体中がこわばる。それが中できゅっと吏人のを締め付けてしまったみたいだ。
「っ…朔也…」
吏人の擦れた声が聞こえ、朔也はハッと痛みから我に返る。
「情熱的…いい締め具合…っ」
吏人のソレがますます元気になったのが瞬時にわかり、朔也は驚く。どうやって締めたのか自分でもわかんないぶん、なんだか嬉しくなる。だって、絶対吏人って女慣れも男慣れもしてそうで、えっち経験ない俺としては…俺だけ気持ち良くて実は吏人は全然感じてないんじゃないかって、不安になってたりするんだ。それに、結構抑えてるっぽいしさ。吏人がいきなり中で大きくなったそれを上下に大きくゆするもんだから、朔也はまた余計なことは考えられなくなっちゃうんだけど。
「ああっ…痛っ…ふぁああん」
「朔也…」
心配するように表情を伺う吏人に、本当は痛くて、苦しくてどうにかなっちゃいそうだけど、無け無しの笑顔をあげる。
「平…気。好き…だから…」
上ずった声がまたセクシーで、吏人の欲望に熱を帯びる。吏人は朔也の内壁をちゅるちゅるっと音を出して思いきりつく。
「ぅああん…はっはっはぁぁあん」
「朔也…逝こう」
朔也のすっかり復活したそこを扱きあげながらも中のビッグマグナムもつき上げて、朔也の身体をすっかり手玉にとってしまう。
「あっぁっふぁああん」
「天国に…」
「あぁあああんっ…あっ」
白いミルクを吏人の身体に放ち、自分の中で吏人のものが放たれる。さっきはあんなに絶望を迎えた瞬間が、今は最高の心地よさだ。熱が混ざり合って、溶けて…溶けて…。どこが自分でどこが吏人なのかもわからない心地よさ。身体中が幸せでいっぱにされていく。こんなの生まれて初めてかもしれない。朔也は今を失うのがもったいなくて、必死に意識を保とうとするが、つながれたまま吏人に二回目を放たれた後、ぐったりと幸福なピンク色に染まっていった。


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