欲情☆発情★ボイス

−2− −4− 小説。


−3−


「じゃあ、もうすぐ本番だからね」
優一はぐったり気味の朔也と、奇妙な笑顔を振り撒く吏人に向かっていささか心配そうに言った。朔也君は緊張で固くなっているとしても、いつも仕事前は気に入らないような表情でいっぱいの吏人がリハーサル終了時にこんなに良い顔をしてるなんて考えられないとばかりに、優一は眉間に皺をよせる。吏人が機嫌がいいのなんて当たり前だ。昨夜から明け方に掛けて、事務所の二人の自室でじーっくり愛を確かめ合ってたんだから。吏人は辛そうによろめいた朔也の身体をそっと肩を支える形で抱く。朔也は嬉しいはずなのに、納得いかない目で吏人を睨む。それもそのはず、さきほどセクハラスポンサー高木に呼び出され、怒られると思ったらその真逆。高木はウフフと妙な笑みで吏人と朔也の肩を同時にポンポンと叩いてきたのだ。
『いや〜…お姫様にナイトの登場だねぇ』
俺と吏人はポカーンと高木を見上げる(いや、吏人は見下す…の方が正しいんだけどさ)。
『はぁ…』
なんとも、わかっていませんってのが丸わかりな返事を返した吏人に高木はまたニンマリと笑い、
『君達のテーマは決まったから』
と言った。俺がますますわかりませんって問いただすと、俺の頬をなぞって囁いた。
『ホモカップリングのデュオって事で売り出すから』
(はぁぁ!?)
『いや、私から君を奪っていったときの丹羽君を見てふと思ってね…もうプロデューサーには私から話通してあるから…そのつもりで』
ど、どういうつもりでさ。俺達にテレビの前でイチャツケっていうのかよぉぉ。俺が信じられないって顔で吏人を見たけど、もう一人ここに信じられないやつが…いた。
『了解しました…』
フフフ…なんて笑みで口まで緩ませてOKしちゃう男が!俺はがーっくり頭をたれる。な、なんで俺の周りってこうも仕事をマジメに見てとらないやつらでいっぱいなんだろう。根がマジメっ子の仕事一途な俺としては、ふざけんなって気分だけど、さすがに木さんの前ではどなれないし、吏人はご満悦だし…。俺が折れるしかないってわけ?これからのことを考えつつ、再びしゅんとなる俺だったり…。
 なんて事があったせいで、番組はおかしな感じに進行された。今日は、初めて視聴者のみなさんおよび、オーディションで落選した人たちにも、吏人のファンにも、鞠也や直彦、俺を知っている全ての人に、俺が吏人とデュオを組みます、こんな曲でデビューしますとテレビという公共の電波を使って教える日なのに、俺は吏人とラブッラブ〜☆なんだって?といきなり司会のお笑い二人組みに聞かれて真っ白な思考の俺の頬に、吏人がその公共の電波であるテレビ放送中にキスをしたなんて…本当おかしな話。そんで真っ赤に染めた俺の顔を見て高木氏(ホモ疑惑・ショタ疑惑あり)がもぞもぞと身体をよじらしてよろこんでいたなんて。しかも、それをいいことに吏人は俺の身体のあらゆる場所をこっそり触っては、本番中にもかかわらずあの時の顔をしてよろこぶし。あの時ってどの時だって?つまり…秘めごとしてるときですよ!吏人ですらそんなんなってるんだよ?俺の身体が反応しないわけないじゃん?だから俺は、司会のお笑い二人組みの一人に『この〜シンデレラボーイめ!』などとはやし立てられても、コクコクとその細い首を縦に振ることしか出来なかったなんて!そして、そしてもっとありえないのは、吏人目当てで来ただろう観客計二百人。うち、百五十人女、五十人男という今日のこの観客全ておかしい!このうら若い乙女たち百五十人は、吏人のファンじゃないのか?じゃないとしても、そのうち半分は吏人の事かっこいいとか思ってるだろうに、俺とのホモ宣言をしらじらしく公開するやいなや、客席からは黄色い声が飛び散った。『きゃ〜!』そのキャーはどういう意味ですか?
『すてきぃぃ』おい、ちょっと待てぇ!大の男が男とほにゃららしてるの想像して何が楽しいんだ!少女たちぃ。それを煽るように吏人の攻撃は続くし。そんで、男客たちはというと…それまで唯一まともな種類だったのに(いや、でも何人かは俺が照れるのを見て変な表情をしてたような…う〜んあれは見間違いだよな)、俺の歌が始まったとたん目の色が輝いた。って言うか、ちょっと怖いくらいに食い入る感じで見てきた。女の子たちも驚いたみたい!えっへん。だって、ダンスだって歌だってめちゃくちゃ練習したんだからな。でも、やっぱり歌は吏人の方うまかったから、驚かれたのは俺の声なんだろうな。なんせ、本番中…つまり歌う寸前までえっちな指使いで遊ばれてた俺の身体は、喘ぎ声に似た吏人の言う“朔也の一番いい声”が出てしまったらしい。俺にはよくわかんないんだけど…。そして、頭を真っ白にさせたままで俺のテレビ初出演は終わったのだ。
「朔也!吏人!お疲れ〜」
泣いているような顔で近づいてくる優一に、タオルを渡されながら朔也はぎゅぎゅぎゅっと抱きつかれる。吏人は優一の顎をぐぐぐっと押しのけて俺から優一を離し、二人分のタオルを優一の手から奪ってから、優一に話すことを許した。
「はいはい…落ちついて」
「う、うん。いや、朔也君はじめてなのに生であんなにしっかり歌えて、ほんとにすごいよっ!みんな誉めてらっしゃってたよ」
「え!?本当ですか」
優一に無防備に笑顔を飛ばす朔也にやきもきしながらムスっとそれを見守る吏人は、しらずに怒ってますオーラを廻りにだしていたらしい。三人の周りにはいつしか人が居なくなってしまった。
「わぁい!うれしいな〜…」
「朔也」
「明日って八時に事務所でいいんですよね」
「朔也っ」
吏人をそっちのけで話を進めようとする朔也を怒鳴りつけると、吏人は朔也をシャワールームへとひっぱっていこうとする。この雰囲気、初めて吏人に最後までやられちゃったときと似てる…と思い朔也は必死にかかとでブレーキをかける。が、さっきまで最高な見方だと思っていた優一は二人に最高の笑みで手をふって見送っている。
「ちゃんとシャワー浴びて、風邪なんか引かないようにね〜」
ううぅ〜。優一さ〜ん、何年吏人と組んでるんですか。こいつの思考くらい読みとってヘルプ出してよう。だって、事実上朝もやって、昼は仕事して、夕方も…なんて俺本当に壊れちゃうって。
「なぁ、吏人〜…俺、シャワーは自分の家でぇ…」
「じゃ、俺も朔也ん家行かせてもらってそこで浴びるかな」
既に吏人の手を振り払い自由になっていた身体を硬直させてしまう。…家?鞠也と暮らしているあの家に来るって〜!?冗談じゃない。まだ…バレるわけにはいかないんだって。もし、今鞠也がいなかったとしても、あの家はどう考えたって若い男が二人で暮らしているようにしか見えないもの達であふれてるんだよ。入れさせるわけないじゃん。ふに〜。
「ち、散らかってる…から」
あきらかに挙動不審な朔也の言動にピクっと眉毛を動かす。けれど、これ以上どんなに攻めても話さないであろう事は明白だった。今までだって、隙さえあれば朔也の事を聞き出そうと誘導尋問的なことを続けてきていた。けれど、どんなに怒ってもどんなに下手に出てみても、朔也が口を割ることはなかったのだ。
「そんなに散らかってる部屋でシャワーもないだろ。ここで浴びて行くよな」
朔也はこの難問な二者択一をかせられ、しかたなく後者を選ぶのだ。
 「っん!!り、吏人!」
ロッカールームに入るやいなや、濃厚な大人なキスで神経を奪われる。さっき初めてのテレビ出演とちょっと不可解な客の行動にもうお疲れモードな俺のだらけた神経さえ、ピーンと張りなおしちゃうくらいの代物だ。
「お前が挑発するから…」
まるで俺が悪いって言いぐさだな〜?なんでだよー、俺はお前のセクハラのせいでコメントは少なめになっちゃったし、その上歌なんて…はぁ…あんな声になっちゃうし。
「な、なんだよ…それ…っふ…あっ」
吏人の手が、唇がだんだん移動して、俺の服を脱がしながら直接なボディに進行してくる。俺は吏人の頭をグッっと自分から離すようにして力を入れた。その行動にはかなりご立腹の吏人様。急に手を緩めると俺をキッとして睨む。
「なんだよ…この手。お前が悪いんだから責任とんなさい」
「だ、だから…俺…何もして…ぁあっ…」
吏人は手を緩めたわけではなかった!俺の胸に爪をを痛いほど食い込ませ、快感よりも苦痛を伴うしるしを残す。
「何もしてないって?…だからこのおこちゃまは…」
なんだと!?俺は実は吏人より年上なんだぞっ。…大きな声では言えないけどさ。
「あんな声で歌って…正気で居られるわけないだろ」
ひぇぇぇ。まじで歌だけで欲情しちゃったのかよう。俺の顔見て全てが伝わったのか、俺の愛撫され既に半勃ちなそこのすぐ上で囁かれる。
「そう…にきまってるだろ」
決まってないです〜!お願いだから、もう一人にしてぇ。これ以上やったら腰、腰抜かすから。
「ぁっああっん…り、吏人ぉ…も…駄目」
俺は自分の物を隠すように手で覆いながら、吏人に訴えるが、簡単にその手ははずされついでにズボンまでする〜っと脱がされてしまう。そして、朔也のあらわなそこを吏人はきゅっとにぎにぎする。
「っふ…ふぅ…っあん」
口元に手を当てて必死に喘ぎ声をこらえてる俺の気持ちなんてさておき、吏人は完全にフルコース作りますよってシェフになりきってて、手を緩め様とはしない。それどころか鬼畜な言葉で俺から恥ずかしい言葉を引き出そうとする。
「駄目なの?でも、ずいぶん辛そうだね…まさかここで一人でやるの?」
確かに俺のあそこは吏人の手業で既に頂点極めちゃってて、このままどこかへ行ける状態でもない。でも、でも…誰が入ってくるかわからないここでやれないよっ。
「んんーん!んんーん!!」
あくまで声を出さないように口をふさいで、必死の涙で訴えるが、吏人は俺のそんな下半身は熱に帯びてて、でも心はしたくなくて…みたいな板ばさみ状態をしげしげと楽しそうに見ている。
「じゃあ、どうするって言うんだよ」
吏人は俺のミルクがこぼれてきているジュニアをペロっと舐める。
「あ…あぁん!!」
朔也はすでに逝きそうなそこを腰を浮かせて吏人に差しだし、続きを泣きながらせがむ。こんな恥ずかしい格好でお願いしているのに、吏人は扱いてはくれいない。それどころか、根本をきゅっと親指と人差し指で握ってしまい、一人でやるという(絶対吏人の前でなんかしないけど!)選択肢も消えてしまった。
「続きして欲しい?」
あ、あたり前じゃん…。健全な男の子なうえ、えっちに目覚めたての俺がこの状態から冷めて平静を装って家に帰れるなんてまずあえいえない!朔也は吏人に向かって悔しいながらも、首を縦に1回振ってしまった。
「じゃあ、お願いのセリフ言ってみようか」
ま、また出た〜!こいつ絶対変態!主人×メイドとかのイメプレ好きそう…ってかこれ、もうそれ入ってるよね?ふ、普通のカップルってこんなえっちするのかな?俺…わかんないけど。
「さあ…?」
そんな子供みたいに目輝かせなくていいからさ〜!普通のでいいのでしてください。って目で訴えてみたって、この吏人様には聴かないんだよね。ちぇ。下肢は吏人の舌使いでおっきくなってるのにますますピクンってなっちゃってて、もう言うしかないって状態。俺は切羽詰った状態の中、あのセリフを吐いちゃったんだ。
「して…吏人様の指で…逝かせてぇ!」
その瞬間吏人は根本を締めつけていた指をはずしてくれたので、俺は一気に快楽へ上り詰めてしまった。
 その後、2回逝かされその上2回逝かしてしまった俺の体はぼろぼろ状態。吏人にささえられ(セクハラされながら?)なんとかシャワーを浴びると、ズボンを簡単に履き、シャツを胸元をはだけさせて羽織る程度に着てロッカールームの椅子に倒れこんだ。吏人がソンなぐったりしてる俺のところにくると、まず最初にシャツに手をかえ、器用にボタンを全て締めてしまった。もちろん、だいたいの時ははずしてある首の苦しいところまでくる第一ボタンも。
「吏人?」
朔也はなんとかトロンとした目で吏人を確認すると、その不可解な行動の答えを求めた。
「誰が入ってくるかわかんないだろ…?」
こんなことであ〜んなことを最後までしちゃった人に言われたくない…。やきもち焼き男くん!でも、これって愛されてるってことなのかな?そう思うと、強引なくせにこんなことにちまちまと世話をやく吏人がかわいくなってしまう。朔也は吏人の頭をよしよしと撫でると、吏人におでこをコツンとやられてしまった。
「な〜に、してるんだよ」
「だって…なんか吏人かわいかったんだもん」
吏人は今まで生きてきた中でかわいいと言われた経験がなかったようだ。いや、小さい頃はあったかもだけどさ。俺の言葉にぎょっとして目を見開く。ちょこっと頬を赤く染めて。
「ほら、やっぱりかわいい」
思わず年上っぽい発言をしてしまって、あっ、と俺は口篭る。けれど吏人はとりあえずその俺の行動は気付かなかったみたいだ。それよりも自分のさっきはちょっとピンク色にそまった自分のホッペに指をあて、ココ、と示してきた。
「頭なでられるよりも…ここにキスの方がいいな」
すっかり余裕の顔に戻っているそのほっぺに俺はキスをしようとカラダをあげるが、そのとたん、足に力が入らなくてストンと椅子にカラダが戻ってしまう。
「あ…あれ?」
「…まあ仕方ないか…ここで二回も俺の咥えちゃあな」
恥ずかしげもなくそのセリフをはく、目の前のコイツをゴミ箱にぽーんしたい気分。そんな目で見ていたのに、吏人は俺の体をひょいっと肩に抱えると、そのままロッカールームを出て、一階へ向かおうとする。
「家まで送る…事務所の車借りよう…」
「えっ…」
朔也は表情を曇らせた。だって、それってつまり運転手付きの車で鞠也と住んでるマンションに送ってもらうってことだよね?それは、ヤバイ。超多忙アイドル鞠也がこの時間家にいる確率なんて低いけれど、どこからバレるかわかったもんじゃない。その上、運転手さんってのはもっとやっかいで、芸能人のプライベートがバレル窓口になってるのはこういう人たちなのが一番多いのだそうだ。芸能人にかかわりを持っている、芸能人じゃない人たちってことね。鞠也と一緒に住んでるなんてばれたら、それこそ大変だし、その上にいろんな問題がふりかかってくる。それだけはさけなければ、朔也はちっちゃな頭の中で思考回路をめぐらせるが、良策は浮かんでこない。そんなうちにいつのまにか地下の車置き場まで運ばれていた。吏人は一つの黒塗り高級車の助手席の窓をコンコンと叩くと、中から人のよさそうなおじいさんが顔を出した。
「ありゃあ、吏人の坊ちゃん。偉くなったな〜」
吏人の小さい頃からの知り合いだろうか、やけに親しげに話してくる。
「じいちゃんもまだ現役かよ…よく続くな〜…」
「いやいや、楽しいぜ。芸能人の情報が漏れ漏れだ…ヒヒヒ」
意地悪そうな顔して笑うのが吏人にそっくりなおじいちゃんの言葉に朔也はビクっとする。それに気づいたのか吏人はさりげにフォローする。
「良く言うよ。40年間ノントラブルなくせに」
「へ?」
「当たりめぇよ。男が他ヤツの仕事の事に口出すなんてみっともねぇマネはしねえもんさ」
吏人は朔也の耳元で、安心したか?、と囁くと、既に乗せる気まんまんなおじいちゃんが開けておいてくれたドアの隙間から、車の後部座席に朔也をやや乱暴に投げ入れる。こうでもしなきゃ、朔也はそんな淫らな体で歩いて帰ることを選んだであろうから、吏人のこれは最善の策だったといえる。
「っ痛〜!吏人っ」
腰を強く打った朔也は、秘めごとでの痛みもあって酷く苦い顔をしている。吏人は朔也の体にぴったりくっつくように座ると、おじいさんに車を走らせるよう促した。おじいさんは手元にある事務所の人の住所欄を見て、朔也の家のある場所をささっと慣れた手付きで探す。朔也は慌ててその一覧表をおじいさんから奪い取り、自分のお尻の下に隠してしまった。その行動はあまりにも不可解で、おじいさんと吏人二人の不信感を沸き立たせた。
「朔也…なんで隠すんだ?」
当たり前だろ〜!!ここに書いてあるのはでたらめなんだからっ。こんなとこに案内されたって俺帰りかたわかんないし。その前に全ての嘘が解けるキッカケになっちゃうじゃん!困るんだって。
「お、俺が案内…するから…ほら、俺送ってもらうのはじめてじゃん?」
朔也は下をおどおどさせてしどろもどろにしゃべり終えた。吏人は全然納得言ってない顔してたけど、一応朔也のその案を了解してくれた。ホッ!
 「オンエアーはいつだっけ?吏人坊ちゃん」
「明後日だよ…かなりいいから、しっかり見ろよ」
「へいへい」
朔也と輪島(名札にそう書いてある)のじいさんの他愛ない会話にもびくびくしてしまう。ああ、神様〜!うちに鞠也がいませんように。そんでもって、誰にも何もばれませんように〜。朔也の表情がゆがんできたのがわかったのか、吏人は朔也の顎をきゅっとつかんで上に向かせる。朔也はここが車の中で、前の運転席では輪島が爽快に車を転がしている。バックミラーには何かしらの行動をとってる自分たちがチラリと見えるかもしれない。そんなとき男同士できちゃってましたーみたいなのはゴメンだ〜!!俺の少ないプライドをかけていもいい、そんなの一生の終わりだ。朔也は吏人の服をぎゅっと掴んで、行動を制御する。
「だ、だめ…」
小声でその動きを阻止しようとする朔也だが、どう考えても分が悪い。だって、吏人は自分より遥かに力がある上、輪島に何がばれようと気にしてないみたいだ。
「何で?」
そう良いながらも唇を唇に近づけて、そして重ねる。
「んっ…」
避けるつもりが、かえって吏人にくっつく形になってしまって、こらえていた声が漏れる。朔也は輪島がこちらを向かないことを祈りつつ、吏人を優しく突き放す。けれど、吏人はさっきから挙動不審なMYハニーの行動とキスの拒絶にイライラしたのか、もっとキスを強要してくる。重ねるだけじゃなくて、すんご〜い濃いやつね。ほら、舌とかいれちゃったりして温度が伝わっちゃうような…さ。
「ちょっ…んっ、ふっ!!」
吏人の舌が朔也の口の中にその存在を大きくし始め、喉の奥奥って突っ込んできて犯してくる。怒ってるのが手に取るように…口に取るように?わかる。
「り、吏人!」
あくまで小声で怒ってみたりする。だって、こんな場所でこんなことするほうが理不尽だろ?
「…朔也…何隠してるんだ?」
ドキンっ。俺の心臓はいきなり核心を突つかれてきゅっと痛む。一瞬にして盛り上がった身体の中の温度が氷点下に下がる。顔に出ちゃう正直な自分が恨めしい…。
「何もっ!おかしいんじゃないの吏人…」
顔をそむけて誤魔化そうとしても、吏人は朔也の顎を掴んだままその手を放そうとはしない。むしろ力を強くしてるみたいだ。吏人の身長に合うように、さらに上に向かされて俺は苦しさで座席をドンドン叩く。さすがにそれだけドタバタやれば輪島も気づく。案の定輪島は信号で止まると、コチラにいきなりむいた。
「次はどう行けばいいんだい」
「へ?」
てっきり今の状況を攻められると思っていたので、道のことを聞かれたのは意外も意外だった。朔也は吏人の顔をぐぐっと押しのけて、運転席の方へ身を乗り出した。
「えーと…そこの角を右で、そう、それと次左…。そうそうあそこのマンション」
朔也が案内したマンションを見て、吏人も輪島も唖然とした。だって、そこはどう見ても年収一億とか言う人が住みそうな(つまり吏人みたいな人ね)超高層な超高級なマンションだったからだ。それも当たり前、だってあの超アイドル鞠也と暮してるんだもん。甘いセキュリティーじゃおちおち寝てもいられませんって。朔也はさっさと二人を帰すため、ドアを開けられる前に、さっさと車から降りると、さっさとドアを閉めた。吏人にお別れのチューも何もさせる間も与えないくらいに。
「じゃ、じゃあどうもありがとうございましたっ」
輪島に丁寧に頭を下げる朔也の姿を見て、輪島は苦笑する。こんなに態度の低い朔也なんかが芸能界でやっていけるのかねえとひそかに心配になってしまったからだ。この子は少々人がいい。こんなお抱え運転手なんかに毎回頭を下げていたら、頭が上がる時間がないじゃないか。やれやれ。
「おう!また使ってくれや」
輪島は窓から手を出して、朔也の頭をポンポンと叩く。朔也はもう一度頭を下げると、今度は吏人に呼ばれ、そちらに向かう。
「朔也…お前こんなとこに住んでたのか」
「え、うん。まあ…親の力だよ」
朔也が父親に嫌悪感を抱いてるのは金問題のせいか…と一人うなずいてみる。けれど、それだけで朔也はこんなに追い返すように別れの言葉を急ぐ必要があるのか?仮にもお前の恋人だぞ?俺は。
「…まあいい。明日遅れるなよ」
「う、うん!じゃ…」
朔也はマンションの入り口にかけていくと、すーっと自動ドアの中に消えて行ってしまった。吏人は朔也が見えなくなるまで、ちょっと見ていようと出発しようとしてる輪島を止めた。窓を開け、ぼーっと朔也の後姿を見ている吏人を見て、輪島はホホホっと笑うと、一人名簿一覧に目を戻した。
「あれ?…おかしいな」
「何だよ…」
「ここの住所と書いてある住所違うんだよね〜…間違えたにしては全然違うしなあ…」
「―――え?」
ぽりぽりと頭を書きながら輪島は住所を書き換えた。
 ふぅ〜…なんとかばれなかったかな?後を振りかえらないようにマンションまで入ったから吏人たちがすぐ帰ったかがわからないかった。だって、何度も振りかえってみてたらまた疑われるじゃない?そんなんだから、自動ドアが開く時も下を向いていたから、そこに人がいるなんて全然気付かなかった。
「朔也!」
不意に名前を呼ばれ、顔をあげた瞬間身体中を温かい柔らかい身体で包まれる。全身から優しさオーラを振りまきまくってるこの人は一人しかいない。
「鞠也っ!仕事は!?」
久々に鞠也に会えた喜びから、朔也の顔がふんわり春の日差しのようにゆるむ。鞠也はそんな朔也の笑顔が変わっていないことに安心すると、再び抱きしめた。
「今日は午後はオフ…心配したんだからな、この頃会わないし…あの丹羽吏人君とディオって話じゃないか」
「平気だよ」
吏人はいいやつだから…と言おうとしてやめた。正しい状況として、吏人と鞠也はライバルなのだから誉めるのはちょっとおかしい。
「とにかく部屋に行こうよ!俺腹へっちゃった」
相変わらずかわいい弟にそう言われると弱いお兄ちゃんな鞠也は朔也の手を取り、オートロックを抜け、エレベーターへ乗りこんだ。
 朔也がすぐマンションの中に消えるのならそれをそのまま見逃すつもりだった。しかし、オートロックの前からなかなか移動しそうに見えない。朔也の事だから番号を忘れたとか?などと一人想像してみるが、そうでもないようだ。朔也は誰かと話をしているように見える。それも、結構長身のかっこよさげな男…しかし、男は観葉植物の陰で顔がまったく見えない。吏人のまわりにもやもやとした陰が廻り始める。
「もう行きましょうか?社長が待ってるぜ」
輪島には視線を移さず、無意識に首を縦に振る。輪島はそれをバックミラーで確認するとゆっくりとアクセルを踏む。それにあわせて車がゆっくり動き出すと、観葉植物の陰になっていた部分がそーっとその姿をあらわにする。それを見た瞬間、吏人は車の窓ガラスに両手をくっつけて、顔面をぶつけるがごとく近づけて食い入るように見てしまった。だって、そこにいたのは自分の恋人朔也が超アイドルグループマリファナの人気ナンバーワン鞠也と抱き合ってる姿だったんだから。
 次の日、放送を見た視聴者からの電話の殺到に嬉しそうな優一の電話で起こされたオレは、鞠也がつくってくれたのであろう朝食をつまむと、マンションを出た。朝日がまぶしいくらい新鮮で、太陽の光に思わず目を細める。そして、目をうっすら開けて、さあ行くか!と気合を入れなおした瞬間、オレは思わず目を全力で擦る。始めは太陽を見すぎたためかと思い、ゴシゴシゴシゴシ。けれど、その吏人にそっくりな幻影は消えない。そして、あろうことか近づいて話しかけてきた。
「…機嫌がよろしいですね〜…朔也」
あったかい日差しはなんのその、オレの身体を南極のブリザードが襲う。オレは動物的感で直感してしまった。吏人は怒っている。原因を考えれば尽きないからまた恐い。けれどここは閑静な住宅街。ここで吏人の正体が通行人なんかに見られたら、それこそ大変だ。オレは鞠也が既に出発して部屋にいないことを思い出すと、有無を言わさず吏人の腕を引っ張り、門をくぐり、オートロックを抜け、エレベーターに乗り込み、5階の自分の家に吏人を押し込んだ。
「はよ…」
そこではじめて口を開いた朔也を冷ややかに睨みつけると、どうぞ、とも言ってないのに吏人は勝手に靴をすっと脱いでしまうと、無言のまま中にずんずん一人進んでってしまった。中には鞠也のモノとかいろいろあることに気づき、血の気をなくして朔也は、吏人を先回りして、吏人が手を掛け様としていたリビングへ繋がるドアと吏人の間に身体を滑り込ませると、引きつった表情で笑ってみた。
「部屋…散らかってるから。またって事で…」
「ダメ」
オレのおでこに強いデコピンをお見舞いすると、吏人はオレを抱っこするようにしてひょういっと持ち上げると、邪魔にならないところにどかされてしまった。オレは慌てて立ち上がりなおし、吏人の行動に視線を戻すが既にドアが開かれたところだった。
「結構広いな」
「吏人っ!」
朔也が止める言葉なんてまったくお耳に入ってないみたい。もともと吏人の辞書に遠慮と謙虚って言葉はないんだろうけど。リビングの先は鞠也と朔也のベッドルームなのだ。そこだけは行かせてはならない。だてあそこには二人用のキングサイズのベッドが一個あるきりだけなのに、マクラはピンク(朔也用)とブルー(鞠也用)とちゃんとそろって並べておいてあるし、その上、昨日は寝相がめちゃめちゃだったせいで、シーツは怪しい感じに乱れてるし。そんなんみられたら!!はう〜、やばいて。朔也は誘導するようにして吏人をキッチンの椅子へと座らせた。
「コ、コーヒー煎れるから待っててよ。それ飲んだら機嫌直して事務所行こ!」
コーヒー豆をグリグリつぶしながらオレが言うと、吏人はテーブルについていたひじを離し、組んでいた足を元に戻して立ちあがってしまった。
「…トイレ借りる」
内心焦ったから、こんな簡単な問いでも朔也はもたもたしてしまった。
「あ、え、と…そこ行って右。うん、あそこの赤いノブカバーのところさ」
「どうも」
吏人が行ってしまうと、慌てて寝室に鍵を掛けた。そして部屋中にある鞠也の写真を集めて、引出しの奥の奥にねじりこむようにして突っ込んだ。
(ごめん…鞠也。ちょっとそこに入っててね)
オレは写真に手を合わせて謝った。吏人はトイレに行くとは行ったものの実際来たのはバスルームだった。それというのも、昨日見た朔也と抱き合っていたのが本当にあの鞠也だったか確かめたかったからだ。どこかにその証拠はないもかと洗面所を荒らす。もちろん、朔也が自分意外のやつと付き合ってたり、暮してたりするだけでも許せないことなのだが、それが鞠也だとまた許せない度が増すのだ。なにせ、鞠也と吏人は世の女性の人気を2分するライバルであったりするから。けれど、浮気の原因発見率の高い洗面所を探してもそれらしきものは一つもない。だって、歯ブラシもちゃんと一本だしコップも一個しかない。あれはオレの見た幻覚だったのか…と吏人が頭を冷やし始めた時、悪魔は吏人に味方した。電気のカバーだと思っていたところが、ガタッっと開いてきたのだ。そして、その中身はもう一組ブルーが主の歯ブラシとコップだった。それが鞠也のものかどうかはわからなかったけれど、男モノなのは容易に判断できた。つまり、ここに朔也はオレじゃないほかの男と暮していたのだ。吏人はその隠されていた方の歯ブラシを掴み取り、真中から半分にパキンと折ると、目の前の大きな鏡に向かって投げつけた。歯ブラシのもともとの重さが軽いせいで割れこそしなかったが、高い音をたてた。鏡には縦に生々しいひびが入ってしまった。その音を聞きつけて、朔也がキッチンから走ってくる音がする。
「吏人!?何やってんだよ…」
まっさきに鏡に目が行って吏人を怒鳴ったあと、開かれた隠し扉に気付きドキリとする。そう、あそこには紛れもない鞠也の洗面道具一式が納められていたのだ。二人の間に気まずい空気が行き来する。朔也は足元に落ちていた無残な姿の歯ブラシを拾おうと思った瞬間、吏人に腕の自由を奪われてしまう。
「吏人…ふっ!んぁ」
「そんな物を拾うなっ」
吏人は朔也にいい訳の隙さえ与えず、その口を奪ってくる。いきなりはじめから口の中を荒らすような勢いの吏人の舌にすぐにギブしてしまう。呼吸をする間さえ与えず吸いついてくるのだから仕方ないといえば仕方ない。朔也の目がトロンとした瞬間、吏人は朔也の身体を突き放し、朔也の姿勢を壁に寄りかからせて座らせている形にした。
「はぁ…はぁ…吏人誤解なんだっ」
涙ながらに訴えるが、吏人は怒っているのか、冷静なのかそれすらわからない。ココロの中がまったく読めない表情で見つめてくる。
「へぇ…恋人が男と暮してるのに誤解も何もあるんだ〜…」
ただでさえ睨みつけられると動けなくなるその目が、立ってるのと座っているのの差でますます恐怖に感じる。
「あ、兄貴と暮してる…んだ」
嘘は言ってない。朔也は言葉を選びつつ訴える。けれど、嘘をついていたのは今の自分じゃなく、昔の自分だった。
「オレしっかり覚えてるんだけどね〜…野ノ原朔也の履歴書。兄弟はいないって書いてあったんだけどねぇ…」
そう言えば、そう書いたような気もするような…。朔也はすっかり根負けしてしまい言葉に詰まる。そのどう説明して良いものかわからないと悩む朔也の一連の行動はどうみても“本当の恋人と住んでることを認めます”になっていた。だから、吏人はこんなにも怒ったのだ。だって、吏人の表情は疑惑が確信に変わっちゃったもんだから、抑えきれない怒りと嫉妬を目の前の朔也にダイレクトにぶつけてくる。
「朔也は俺よりもそいつを選ぶんだな…」
「違っ、違うけど…」
違う。鞠也は大切な人ではあるけどそれは兄貴としてで、家族として。たった一人の心を支えあったきた兄弟としてだ。涙がでちゃうくらい切なくなったり、苦しくなったりするのは吏人だけなのに…。
「けど…?なんだよ、説明してみろよっ」
吏人は朔也の身体を起こし、壁に押し付ける。朔也の両側を吏人の両手で塞ぎ、顔をすんぜんまで近づける。けれど朔也は顔をそむき、目を瞑って声を振り絞る。
「ごめんなさい」
恐怖で身体が小さく震えはじめる。けっして吏人の目は見ないが、自ら激しい抵抗はしない。俺の父親に対する復讐のせいで、ここまで吏人を追い詰めているのは自分なんだと知っているから。ふんばる自分の身体とは引き換えにココロが痛み、涙がじわじわ来る。
「謝るなよっ」
吏人が急に怒鳴ったせいで、思わずそちらを見てしまう。吏人の表情は恐くなかった。むしろ、今まで一番素の表情をしていたんじゃないだろうか?すっごくすっごく切なそうに、いっつも王様気取りな吏人が泣いちゃうんじゃないかって一瞬思っちゃったくらいだ。
「ごめん…」
それでも朔也は他に言葉が見つからず、その三文字を繰り返す。
「相手の…名前教えろよっ」
「聞いてどうするんだよ…」
吏人の唇がそっと耳元に入りこみ、耳の中で囁く。
「殺してやる…」
身体がゾクッっとそそり立つ。いつもの吏人の声にブラックな雰囲気が加わっていっそう大人っぽくダークに響く。一瞬来た快感の後に言われた内容の恐ろしさに身体を硬直させる。
「言えよ…それで許してやる…」
「言わないっ」
「言えっ」
「言わないってば!!」
自分と暮しているのは本当に兄貴なのだ。最愛の兄。その人を殺されるわけにはいかない。まあ、吏人の今の言葉がどれだけ本気か真相はわからないけれど、オレが思う限り99%本気だ。だからオレは絶対絶対言わないっ。ってか、でもおかしいよ、こんなの。そりゃ、一応恋人ってことになってる俺が他の男と暮してたら嫌だろうけどさ、殺すとか、こんなに怒るのはちょっとやりすぎだよ。もしかしたら親戚のお兄さんと暮してた…とか想像できないのかっ!?こいつは。朔也はの中でだんだん怒りも芽生えてくる。でも、昨晩玄関で朔也と誰かのラブラブハグ〜なシーンを見せ付けられちゃった吏人としては、親戚だろうが鞠也だろうが関係なかった。そして、朔也が相手の名前を言わないこともますます怒りのエネルギーになるだけだった。だって、吏人はだいたいの見当はついてるんだもん。
「いきなりなんなんだよっ!家に勝手に来て…。お、俺たちそんなに仲良い訳でもなんでもないのに…。ただの仕事のパートナーだろっ!?帰ってくれ!帰ってくれ!」
言いすぎた。ココロに思っていることとまったく裏腹だと言ってもいいくらいだ。言い終わった瞬間に朔也の頭に浮かんだのはそれだった。嘘をついているのは自分…それがまず全ての原因なのに、全てを吏人にぶつけてしまった。
「帰れ…って?誰に言ってるんだ…お姫様」
鬼畜そうな笑みにゆがむ吏人の表情…。その表情の変化が起こるか起ったかというときに、吏人の手も朔也の両側からはずされ、朔也のジュニアを下から上に軽くじれったく撫でる。
「っあぁ…」
朔也の顔がすぐに羞恥にゆがむ。
「こんなことするのも仕事のパートナーだから…なんだ…?」
今度は強くむぎゅっと握る。服の上からなのに、強く握られているせいでそれだけでぱんぱんに膨らんできてしまう。
「ふぅ〜〜ぁっ!!」
「仕事命だもんね…売れるためならなんでもする…か」
そんなわけないっ!身体を売ってまで売れ様なんて考えたことすらないっ。否定しようにもあまりに絶妙な吏人の手の扱きに、感じてしまって何も言えない。
「その声で上手く誘ってみろよ…」
「あっ、あっ、あっ」
服の上からなのに!!朔也のコントロールなんてもうとっくにきかなくなったそれはヒクヒクとミルクをこぼしているのが感触でわかり、恥ずかしさで顔を手で隠す。
「あっ…もう…やめてぇっ!いっちゃう…」
「淫乱だねぇ…これくらいで。毎夜、毎夜あいつにやってもらってんのか!?それとも…しばらく遣ってくれないとか…」
「っえ…!?…はぁはぁ…な、何言って…」
クスクス笑う声が自分の下半身から聞こえて、自分が今どんなに辱められているかがわかる。こんなこと…吏人としかしたことないのに。こんな場所、吏人にしか触らせてないのに…。全然わかってないよっ!涙が止めど無く溢れてくる。男なのに…十八にもなってこんなの…。
「吏人…酷いっ」
「フ…どっちがっ…」
吏人が服の上から朔也のジュニアをカポッと咥えた瞬間、その生暖かい吐息に間接的に触れられたことによって、絶頂に達してしまう。
「あああぁぁんーーっ!!」
朔也のズボンは自分の放った欲望でぐっしょり濡れている。その上を何度も触られ、それで湿った手を無理やりみせられて、どうしようもない屈辱感に襲われる。
「やっ…やだ…」
朔也は顔を真っ赤にさせる。まさか、服をきてるのにいっちゃうなんてっ。吏人はずぼんと下着をするすると脱がし始める。そして、そこをキレイにしてくれるのかと思いきや(いや、怒ってる吏人にそんなこと期待してないけどさっ)、朔也の両膝の後を持ち上げると、朔也の秘所を自らの前にあらわにした。そして、慣らしてもいないその孔に自分の欲望を一気に押し付ける。
「痛ぁぁっ!!!」
あまりの衝撃に吏人の背中に爪を立てる。痛い、痛い。濡れていないそこは、吏人の大きくなったのを受けとめるには狭すぎた。けれど、吏人は痛がる朔也の声すら快感に感じるのか、そのまま奥へ奥へと突っ込み、激しく上下に揺さぶる。
「ふっ…ふぁあん…あん…り、吏人、いや…だぁ!」
「仕事だと思ってガマンしなさい」
吏人は朔也を突き上げる。
「ふぁんっ!!くっ…り、吏人ぉ…」
あまりの吏人の感情の強さに、呼吸が乱れる。口を塞がれてるわけじゃないのに、呼吸が上手くできない。
「やめっ…やめてっ吏人っ!!」
「オレの気持ちを馬鹿にしやがってっ!これくらいガマンしろっ」
吏人が思いきり上に突き上げた瞬間、吏人の全てが朔也の中で広がり弾けた。こんな悲しいセックスが今までにあっただろうか?


−2− −4− 小説。


Copyright(c) 2004 tanakaoukokukokuounakata all rights reserved.

-Powered by 小説HTMLの小人さん-

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送