−5− | −7− | 教師。

● やまとなでしこ☆ダイナマイト --- −6− ●

ん……。
 温かいなぁ…。
 俺は手探ればすぐそこにある温もりを、より多く感じたくて、眠気眼のまま手をまさぐる。
 ピタっと手にあたった感触は、今まで触れた何よりも心地よい温かさだったけれど、何か違う。
 うーん…なんだコレ?
 俺は、左手のこぶしで、目をぎゅって擦すって、視界をできるだけちゃんと見えるようにして、再びその温もりの元を見てみた。
「うわぁっ」
そのとたん、俺は部屋中が驚きかえるような声で騒いじゃった。
 だ、だってね!
 お、俺が触ってたのって言うのが…。
「おはよう……ココロ」
「な、な、なんで……え、英吏が!?」
そう、隣にいたのは英吏。叶英吏だ。
 でも、なんで?
 俺がそういうと、英吏は少しだけむっとしたような表情になった。眉間にしわを寄せて、ちょっと普段より真面目くさくなってる。
「なんでって……俺が君の恋人だからだろう?何か問題でも?」
「ぁ……っ」
あっさりそう言われて、俺は昨日の出来事を瞬時に思い出す。
 そして……。
「あ、え、俺!何も……」
自分の今の格好をマジマジと見ちゃって、再び奇声を発する。
 違う、違うってば。俺はいいの。
 俺一人だったら別に裸でも、なんでもいいの!
 だって、俺ベッドで裸で寝るの好きで、たま〜にやってたし。
 そ、そうじゃなくて、問題は、俺と一緒のベッドにいた、英吏まで裸だってこと!
 き、昨日はさ、俺きっとなんかおかしかったから、よかったけど…。目も覚めちゃって、さわやか〜な朝に、こ、こんな状況……俺…。
 恥ずかしくって、蒸発しそう。
 耳から、頬から何まで真っ赤になっていくココロを眺めて、英吏は幸せを噛み締める。
「じゃ、じゃあ俺……部屋もどんないと…」
ココロは慌てふためきながら、ベッドから這い出ようとするけど、その細くキスマークで縁取られた腕は、すぐに英吏によって掴まれ、ベッドへと戻されてしまう。
「え、英吏っ!」
あの……俺たち、裸なんだけどぉ…。
 抱きすくめられるようにして、まだお互いの温もりの残るベッドの上で密着してると、なんだか…あの…俺…。
 やばい気するんですけどぉ。
 心臓もバクバクだし…それに…その、あのね。うん、えーと。
 だって、俺だって男だし、高校生だし。
 つまりぃ……。
「ココロ…ココロの心臓トクントクン言ってるね…」
クスっと微笑を交えつつ、英吏の手のひらが、俺の左胸を撫でていく。
「ん……っ」
英吏の指先だけが妙に冷たくて、リアルにその感触を感じてしまう。
 だから、お願い、俺…やばいってば!
「お、遅れるってばっ」
近くにあった枕を、俺と英吏の身体の間に、ぐにっと押しこんで、俺は無理矢理身体を離す。
 だって、だって、そうでもしないと…。
 俺、きっと顔から火がでちゃうし。
 いや、これは比喩だけどさ。
「恥ずかしがり屋さんだね、ココロは」
恥ずかしがり屋さんって…。
 誰でも恥ずかしいでしょ、これは。
 ん?
 英吏は違う、ね。
「わかったよ、仕方ない。俺も教師だからね。支度をしよう」
教師って言う自覚はあったのね。
 って、ああ!
 もう七時になっちゃうじゃん。
 授業開始は八時半からなのに。
 ってか…うわ〜…部屋抜け出したの西園寺にばれちゃってるよね?きっと。あ〜…何か言われなきゃいいけど。
 英吏と一緒にいたなんて、口が裂けても言えない。
 ってか、言っちゃイケナイって、俺の本能が囁いてる。
 きっと、これ防衛本能だね。
 英吏はようやくベッドから抜けだし、その美体を惜しげもなくさらす。
 俺は目のやり場に困っちゃって、さりげなく反らした。
 けど、ベッドの反対側から抜け出そうとしてた俺の前まで来ると足を止め、俺の顎を強引に指先で上を向かせた。
「苦しいよ」
俺が目に見えてわかる不服を伝えても、英吏はその綺麗に整った顔を微動だにせず、俺にキスをしてきた。
「ん……」
甘い。
 とろけちゃいそうなキス。
 ……初めはそうだったんだけど。
「んっ!ちょ…っ」
触れるだけのキスで止まれなくなっちゃった英吏の舌が、口内に侵入してきて、乱交を繰り返す。
 舌先をくすぐるように英吏の舌で撫でられると、身体中がゾクゾクってした。
 キスだって…俺、ここにくるまでしらなかったのに。
 俺って結構ここきて勉強になってる…のかな?
 って、何LLC女学園に感化させられてるんだよ〜俺!
 こんなガッコあってはならないってば。
 ヒトミが帰ってきたら、一言、言ってやらなくちゃ。
「ふっ……ぁん…」
朝からこんなキス…。
 頭が朦朧としてくるよ。心臓は…きっと壊れちゃったね。
 さっきから急発進でその動きを進めてるし。
 ちゅっ…。
 舌が口から抜かれる生々しい音と共に、俺はベッドの下に倒れこんだ。
「気持ち良かった?」
コクン。
 俺がどう思うか思わないかより、本能的に首が縦に動く。
 英吏は、真っ赤になってうつろな俺を見て満足したようだ。
「じゃ、お、俺…部屋戻って着替えるから…あ、の…」
「うん、じゃあ……残念。今日は君のクラスで授業がないんだった。あ、そうだ、誰かに変わってもらって…」
「ちょ、ちょっと!何言ってんだよ。英吏は一介の教師なんだろ。変なこと言い出すなよ…」
あまりの俺様ぶりに、俺は少々お疲れぎみ。
 それでなくても、昨日はあんまり寝てないのに…。
「ココロは俺と一緒にいたくないのかい?」
「え、あ、あの、そういうことじゃなくて…」
だから、こういう声は反則だってば。
 なんでも許したくなっちゃうじゃん。
「ここは学校で、英吏の…叶先生のお仕事場なんだから、仕事とプライベートは別だろ。あ、それに俺のことは学校ではヒトミって呼んでくれよ?」
「ココロは真面目だね」
真面目っていうか…普通だってば。
 英吏が自由奔放すぎ!
 ってか、この学校が不思議なのかな。
 うーん、それも考えられる。
 と、とにかく!俺はここでは根本ヒトミで、英吏は、叶英吏先生さま!
 髪に絡ませてくる英吏の指を掴んで俺は、懇願気味に言った。
「ね?俺だって、英吏が好きなんだからさ。わかってよ」
「ココロ……」
好きって言っちゃったのが悪かったみたい。
 またまた抱きしめたいって衝動が英吏の中に起こったのが、なんか雰囲気からわかって、俺はシーツを身にまとうと、ドアに駆け寄り開けて、部屋から抜け出してから、廊下から頭だけだして叫ぶ。
「お昼にさ、ラウンジで待ってるからっ!」
そして、脱兎のごとく(?)いざ、マイルームへ。
 はう〜…。
 起きちゃってるよね〜…西園寺様。

 「おはようございます、ココロさん」
俺は部屋のドアを開けたとたんに、西園寺に真顔で挨拶を吹っかけられて、返答に困る。
 英吏の部屋からの帰り道はあんまりよくわかんなかったんだけど、とにかく猛だっしゅだよ。
 だって、今の俺の格好ときたら…カツラはつけてないし、裸にシーツだし。
 見る人が見たら………変態じゃん、俺。
 しくしく。
 そんなわけで、俺の顔は真っ赤に火照ってって、息も荒いまま。
 そんな勢いのままドアを開けたら、目の前に西園寺様がいらっしゃったってわけ。
 驚くでしょ?
「お、おはよう……」
現在の自分の衣服の状態を把握してるから、なお言いずらい。
 西園寺は、目を細めるわけでもなく、まして見開くこともなく、俺を凝視すると、ふいっと身体の向きをかえて、自分の準備を仕出した。
 …あれ?
 そんなに気にならないのかな?
 朝帰りしたルームメイトが、シーツ纏って帰ってきても…。
 いーや!気になるに決まってるじゃん。
 俺って馬鹿ぁ?
「あ、あの…」
たまらず俺から声をかけると、西園寺は振りかえりもせずにしゃべる。
「早く準備なさった方いいですよ。朝食まで抜くことになりかねませんよ?」
へ!?そ、それはまずい。
 俺、結局夕べだってお茶漬けしか食べてないじゃん。
 あ、あとは大量の生クリーム…。
 うひゃぁ!考えたくなかったのに。
「わ、わかった…」
 慌てて着替えするために、簡易カーテンを引くココロの動揺する姿を見て、西園寺はふぅとため息をつく。
 全て知ってて、それをこのお姫様のために気付いてない振りをするのも大変なのよね。
 まったく、なんであのヒトミのお兄さんなのに、こんなに純粋培養に育っちゃったのからら。
 根本家が本気で気になってしまう……。
 実を言うと、ココロさんの事はずっと、ずっと聞かされてたのだ。
 根本家女が愛して止まない、男の子がいる…と。
 もちろん、ヒトミもしかり。
 ただ、愛するあまり、ちょっと苛めたくなって、毎日毎日からかっちゃうらしいんだけど。
 つまり、パシリにするのも、女装させるのも、からかうのも全て愛情から…。
 わかる気がするけど。
 これだけの男の子なら。
 でも…この様子じゃ……。
「昨日の晩は良く眠れましたか?」
ドカドカドカドカ…。
「うわぁっ!」
 雪崩勢いで部屋の物が転げまわる音と、ココロの悲鳴がカーテン越しに響き渡る。
 やっぱり。
 相手は…北条 宮、じゃないわよね。
 だとしたら。
「叶先生は、どんなご様子で?」
ドカン、ゴロン、ガシャン。
 ガッシャーーン!
やっぱり。叶 英吏ね。
「痛ぅ〜……」
今度は何か割れたらしい。
 部屋のあれる姿が、見てないのにわかる。
 早い。早過ぎる…。さすが、というか、やはり…というか。
 LLCの先生陣でも、ココロさんのフェロモンにはメロメロになる…んですね。
「昨日は私を気遣って外で寝たのでしょう。それに、叶先生はこの寮の寮監で、朝は必ず見まわりしてますから、見たのでは…と思ったんですけど」
「へ!?」
あ、なんだそういうことなの?
 て、てっきり俺…西園寺にはばれちゃったかと思ったよ。
「あ、うん、そう、そうなんだよ。英…叶先生には会わなかったな〜…ハハ」
急に冷静さを取り戻し、明るく振舞うココロに胸をなでおろし、雪は自分の準備にとりかかる。
 フォローするのも大変なんですよ?
 その綺麗な黒髪をなびかせつつ、雪は呟く。
「いい加減自分の魅力に気付かないと、痛い目見ますよ?」
「え、何か言った?」
いきなりカーテン越しに、大きなココロの声が飛び出してきて、雪はフッと微笑を漏らす。
「いいえ」
まあ、こんな人だから楽しめるのだけれど。

 やっぱり、この制服を着るのはまだ抵抗あるんだよね…。
 いくら今まで生きてきた十七年間、母、姉、従姉妹に遊ばれて女装のたぐいはさせられまくったココロでも、女装に慣れることなんてなかったし、まして自ら着たいと思うわけでもなくて。
 そんなココロには、ここのゴスロリファッションな、ミッション系制服はやっぱり、ちょっと…男としてどうかと思った。
 はう〜…。
 本日何回目かになるため息をつくと、ココロはその黒と白のレースで作り上げられたワンピース型のミニスカートに袖を通した。
 カーテンを開けると、待っててくれたのか西園寺がやはり無表情で待っていた。
「参りましょうか」
「あ、う、うん」
しどろもどろになりながら返事をするココロ。
 やっぱり、女って苦手なんだよなぁ…。
 でも、西園寺はまた別の意味で苦手かも。読めないって言うか、読まれまくってるって言うか…。
 不思議って言葉で片付けとくことにするけど。
「生徒食堂はラウンジって言うんですけど…あっちのほうになります」
丁寧に説明をしてくれる西園寺を、ココロは普通に見ていられなくなって、目をうつむかせる。
 ハハ…、場所はね…知ってるんだなぁ〜これが。
 あんまり思い出したくも無いけど…。
 京にされちゃったアレコレ思い出すから…。
 あの生クリームは、…反則、だよね。
 って、それ以上に……英吏とのこと思い出しちゃうからなんだけど。
 うきゃ〜!名前を言っちゃうと余計恥ずかしい!
 だって、俺、こ、こ、告白とかも初めてだったのに。
 まさか、男相手に言うとは思わなかったな。女性嫌悪症な俺でも、一応結婚願望はあったから…さ。
 って、俺、なんだか英吏にすごいことされちゃってたよね。
 あ、あんまり……思い出せないけど。
 なんか、途中で眠っちゃったし。
 はっ!あれから…俺、英吏に何かされてたりしないよね?しないよね?
 いや、これじゃあ英吏に失礼かな…。
 うん〜?でも、うーん…。
「あ……」
 そんな事を考えてたら、夕べの出来事をより鮮明に身体が思い出しちゃったみたいで、心臓がドキドキしてきた。
「どうかされました?」
ヤバイ。
 なんで…どうして…俺、ただ…英吏のこと考えてただけなのに。
「あの…俺……」
「ヒトミ?」
廊下ってこともあって、思わず俺って言っちゃった俺をかばうように、西園寺はヒトミの名前を口にする。
「あ…と…」
ヤバイ。本当にヤバイ。
 身体が…熱い。
「ごめん、今日…休むっ。具合悪いっ」
俺は大声で叫ぶと、自室に逆戻り。
 だって、だって…なんだか…下半身が…。
 熱くなってきてるんだもん。
 おかしいよ、俺。
 だって、昨日したばっかしなのに、その上まだ朝だよ?別に…何もないはずなのに…おかしいよ…。
 どうして……こんなの?
 俺、そうとうえっちなのかなぁ〜?
 ひぃーん。やだ、やだぁ…そんなの。淫乱…みたいじゃん。
 俺は部屋の鍵を数秒掛からず開け、部屋に滑り込んだ。
「んっ……」
部屋に入りこんだとたんに、抑えがなくなって飛び出る嬌声。
 扉はすぐ後で、その向こう側からは、女生徒たちの朝食に向う声。
 こんな状況で、入りこめるわけないっ!
 俺はすぐにトイレに飛び込もうとしたけど、その前に部屋の中が目に飛びこむ。
 いくら淡白な西園寺でも、部屋の様子は金持ちのお嬢様って感じで、ヒトミの趣味はたかがしれてる、ピンクハウス顔負けの乙女チック趣味で、つまり、部屋はまったくの女の子部屋なんだ。
 いまさら気付くのもどうかと思うけど。
「嫌………」
俺は自分を抱きこむようにして、なんとか部屋の右側…俺のベッドのあるほうのスペースまで歩いていく。
 けど、やっぱり……こんな部屋で出来ないよ…俺。
 どうしよう…体が…変になりそう。
 今までになかったほど、欲情してる身体を支えつつ、ヒトミの部屋で唯一質素なベッドに倒れこむ。
「んーんっ…ふっ…ん…」
枕に顔を密着させ、なるべく声が漏れないようにする。
 身体をぎゅっと縮こませて、早く体から熱が出ていくように促すけど…。
 どうして?どうして〜!?
 いっこうにその火は衰えなくて。
 たぶん、原因は…いや、絶対原因は昨日の晩のこと。
 初めて、愛する人と触れた感触が、今直ココロの胸をときめかせているのだ。
 そのおかげで、冷めない体。
 原因がそれじゃあ、冷めるわけもない…わけで。
「英吏ぃ……英吏ぃ…」
あまりに貪欲に快感を欲する自分の身体に叱咤をうちつつ、ココロは愛しい人の名前を呼びつづける。
 助けて…お願い…。
 も…嫌。
 もう、ここでするしかないのかな…そう思いながら、ぎゅっと目を瞑った瞬間、ドアが開く音がした。
 ガチャリ…。
 あれ?西園寺…もう帰ってきちゃったのかな。
 俺は布団をさらに自分に覆い被させて、入ってきた人から自分がまったくみえないようにした。
 まぁ、西園寺はもともと俺のスペースには一歩も踏み入れないようにしてるんだけどね。
 だから平気だろう…って思ってたのに、そのときに限って足音はなぜか俺のベッドの脇まで。
 な、なんで?
 あ、俺がさっき具合悪いとかいったからかな…。あ〜も〜…そんないい訳しなきゃよかった。
 俺の馬鹿!
 自分の頭を布団の中でこずいた瞬間、すぐそこにいる人物が西園寺でないことを俺は悟った。
「そうとう辛いみたいだね、ココロ君」
こ…この声は…。
 俺の中に急に冷静な感情が生まれた。
「うわっ…!」
急に布団を剥がされて、俺はワンピーススカートのままベッドに入っていたことに気付き、咄嗟にスカートのすそを直す。
 と、言っても…もともと短いんだけどね…ここの制服。
「大丈夫かい?」
にっこり微笑んだ男が身に纏っているのは、甘ったるい薫りの香水と、白衣。
「北条……」
俺は、なんでここにいるんだよってあからさまな目で北条を見返す。
 あ……まさか西園寺が呼んでくれちゃった…とか?
「君が具合悪いって叫んでるのが聞こえたから、出張サービスしにきたんだよ」
なに!?…ってことは、原因は…俺ですか。
 本当、俺って絶対馬鹿だ。
 もう、馬鹿って他人に言われても怒らないことに決めた。
「あの…平気…です」
あからさまに平気じゃない声が、俺自身を苦しめる。
 北条はにや〜っと口を緩ませると、俺の背中から、下半身にかけてのラインを、ゆっくりゆっくりなで始めた。
「ひゃっ」
思わず飛び出る声。
 だって、だって……ね。それでなくても、身体はもう限界だったのに。
 確かに直接そこに何かされたわけじゃないけど、手の不穏な動きだけで、十分だったんだよ。
「どうやら、具合が悪い原因は、ここ…みたいだね」
ずっと北条に背を向けていた俺の両腕を掴むと、北条は無理矢理それを開き、自分のほうに向かせる。
「見る…なっ…」
顔が真っ赤になってるから、みないで!
 火照って、熱持ってて、おかしくて…ほんと、今日の俺変なんだってば。
「お医者様のいうことは聞いたほうが良いと思うけど…?」
北条の唇がキラリと光ると、俺の制服のスカートのすそを口で挟み、そっと上げてくる。
 もちろん抵抗する俺の足は邪魔にはなってるみたいだけど、それ以上に俺にとって邪魔なのは、この熱くなってる下半身で。
「キスマーク…」
太ももから、秘部にかけてかかっていたスカートをそのお口で器用に捲し上げるとそこに見えたのは、真っ赤な情欲の証。
「嫌ッ…それは、そのっ…」
急いで両腕の自由を獲得すると、俺はスカートを元に戻した。
「英吏…かなぁ?」
「なんで知っ……」
そこまで言って俺は口を手で覆ったけど、もう手遅れ。
 これじゃあ、自爆してんじゃん。勝手に。
「ふぅん…そう」
目を細めながら、見定めるように俺の身体を見ていく。
 おかしいところ…ないよね、俺。
 はっ!そういえば、俺まだ今日鏡みてないじゃん。
 本当…へんなとこに変なのついてたりしないよね?
「―――で、なんで君はこんなんになっちゃってるの?」
「……わかんない」
「英吏だけじゃ足りないんじゃない?」
「は?」
足りる、足りないの問題なの?これって。
「確かに、英吏のテクまではさすがの僕も把握してないけど、僕のテクは超一品だよ?」
何言ってるんだよ、北条は。
 うーん、この人も読めないなぁ。
「た、足りてるからいらないっ」
とりあえずそう叫ぶ、俺に、北条はノンノンと指付きで否定した。
「君の身体は正直だねぇ。ほら、君…疼いてるの、前だけじゃなないんじゃない?」
「え、ああっ!」
後の方を撫でられて、俺は思っても見なかったような声を出しちゃった。
 は、恥ずかしすぎる!
 俺は目を頑なに閉じて、この惨状を夢だと思いこもうとするけど。
「ほらね」
うわーん、夢じゃない。
 北条の勝ち誇ったような、満足そうな声がする。
 俺知らない!知らないってば…なんでそっち撫でられて、前弄ったくらいの感覚がくるんだよ〜どうして?どうして…!?
 あ、そういえば……英吏、何かしてなかったっけ?俺の身体に。
 えーと…あの、その…指…挿れてた…ような。
 ま、まさかあのせい?!
「ホラ、僕ので君の中弄ってあげるよ……」
そういって北条が俺の身体に押し付けてきたのは、指なんかじゃなくて!
「え、な、何言ってんだよ!離れろっ、だ、だめだってばっ!いらないっ!」
俺は懇親の力で、思いっきり叫んだ。
 だって、俺…そんなの知らない!
 英吏にだって、そんなことされてないのに!
 何か、これって絶体絶命のピンチってやつだよ!
 俺、何されるの?
 俺、どうなるの?
 喉がちぎれるくらい叫んでも、北条は俺のスカートのボタンを外すほうに意識を集中してる。
 な、なんで〜?誰かこないか心配じゃないの!?
 例え、ここがこういう学校でもさ!
「誰もこないよ?」
俺の表情から何か悟ったのか、いつもの軽い調子で答えてきた。
「今はブレックファーストの時間だからね、みんなラウンジだよ。ふふ、半径数十メートルは誰もいないから、好きなだけ声だして…ね」
 確かに、さっきまでしていた足音がぱったりとやんでいる。
 青ざめる俺の表情を再び読み取ると、北条はその綺麗な顔に朝にお似合いの爽やかな笑顔をつくる。
「ね?」
本当に……・ピンチだ。
 いや、これくらい避けれないでどうする、俺!俺だって一応男なんだぞ。
 俺はこぶしに力をこめて、北条の胸をたたく。
 本当に力いっぱい叩いてやったんだ。
 けど、北条ってばただの養護教諭だと思ったのに、なにげに胸板が厚くて。
 まるでタイヤを叩いてるような感覚。
 びくともしない北条を目の前にして、そんな行動をとる自分がだんだん情けなくなってきて、俺は力を緩める。
 一瞬大人しくなった俺の制服のボタンを、北条はすぐに外していく。
「……なんで」
俺は取られて、あらわになってしまった胸元を必死に繋ぎあわせて呟く。
 どうしてなんだよ、みんな。
 俺なんか触っても…楽しくないだろ!胸もないし、第一女じゃないんだから。
「愚問だね」
ムツカシイ言葉で北条は返してくる。
 愚問…つまり、聞くほどでもないくらい、呆れちゃう質問を俺がしたっていうのか?
 …それこそ可笑しい。
 だって、俺はどうして北条がこんなことするのかって聞いたんだ。
 わからないから聞いたんだ。
 なにがグモンなんだよ。
「ねえ、英吏のどこがいいんだい?」
あの、俺の質問からはなれてません?
 それでも、さっきより真剣身のました北条の瞳が少しだけ怖くて、俺は冗談じゃないんだって悟る。
「どこって…」
そんなの言われてもわかんない。
 確かに顔はかっこいいし、身長は高いし、身体はキリリと引き締まってて男らしい。
 でも、俺はもともと男が好きなんじゃないんだよ?
 一応女の子と結婚する願望はあったんだ。
 …まあ、この女性嫌悪症がなおるのならば…ってコトだけど…さ。
 そ、それでもだよ!ちゃんと俺は女の子が好きだったんだ。
 けど、それでも英吏に引かれちゃったのは。
 俺、運命だと思うんだよね。
 結婚発表した時の芸能人じゃないけどビビビと来たって…あれ。
 ああ言う感じ。
 ただ、それを北条に言葉として伝えるのは俺には困難で、口篭る。
 黙った俺の唇に、触れるか触れないかっていうくらい、北条は自分の唇を近づけた。
 かすかに触れてる北条の唇は、しっとりとしていて、温かみが伝わってくる。
 俺は冷や汗とよくわかんない感じが入り混じって、ナンだか気持ちが悪くなってきた。
「俺じゃだめかい」
「………は?」
からかってるんだと思った。
 北条がって言うより、俺の耳が、俺の脳を。
 だってさ、本当に、どうして…だよ。これこそ。
 俺、ここにきてまだ二日だよ。みんな、どうしちゃったって言うんだよ。
「俺が君を愛してるといったら、君は俺とアイツどちらを選ぶんだい?」
少しだけ声が下がって、なんだか悲しげに言うから、俺はさらに戸惑ってしまう。
「選ぶも何も……」
俺は普通に英吏の名前を告げようとしたんだ。
 けど、その唇は北条の唇に塞がれた。
 熱いはずの吐息なのに、冷たさが入り混じる。
 ううん、冷たいって感じたのは、このキスの強引さが持ってくる痛み。
「…っ……んっ……!っ!」
痛いって言うか…。
 身体が嫌って言ってる。
 目を頑なに閉じて、北条の服の端を思い切り引っ張りながら、俺は心の中で叫ぶ。
 離れろ!離れろ!離れろ!離れろ!離れろ〜っ!
 畜生。
 なんで俺はこんなに筋肉がないんだろ。
 運動も人並み程度にはしてきたはずなのに…。
 それなのに、人並み程度…以上ではあったけれど、嫌でさせられてた料理が見に付き、いまでは趣味の一つにまでその位置をあげてるってのに…。
 そんなことを考えてる余裕なんて本当はなかったのだ。
 ココロがあまりの圧迫と、いきなり奪われた呼吸口にぼや〜っとしている間に、その美しい唇から、熱い舌がココロの唇をこじ開け、口内へと侵入してきた。
「や、んんっ…はっ…」
舌が絡まるたびに漏れる吐息と唾液の蜜が、怒鳴ろうととするココロを邪魔する。
「〜〜っ…」
男にベッドに抑えつけられて、無理矢理こんなことされてるのに、何も出来ない自分に涙がでてくる。
 こんなんだから、俺、女共にまで馬鹿にされてんじゃん!
 そして、自分に腹立たしさを感じながら、もう一人のことをココロは強く思っていた。
「……英…吏ぃ」
その名前がココロの口から飛び出した瞬間、北条の動きが一瞬緩んだ。
 ココロはスカート姿のままで、自分に乗っかっている北条の腹を膝で蹴ると、ベッドから這い出ようとした。
 けれど………。
 コテッ。
 馬鹿らしい音と共に、床に転がる自分の身体。
 ココロは全てを思い出したようで、顔を真っ青にさせる。
 そうだ…俺…。
 朝ご飯食べに行こうとしたら、昨日の夜のこと思い出しちゃって、身体がなんか反応しちゃって、ベッドにこもってたんだっけ。
 つまり、そこに残った欲望はそのまま…。
 すばやく動けるような状態ではまったくなかったのだ。
 うぎゃ〜っ!俺の馬鹿ぁ。
 昨日からさんざん自分に言っている罵倒を、さらにもう一度振りかける。
「逃げられないってば」
背後やや上から、恐ろしいくらい明るい声で言われて、ココロはビクッと肩を動かす。
「……逃げてみせるっ…」
振り向いて、北条を意思の篭った目でにらみつける。
「なんでみんな…」
北条は少しだけ遠い目をして言う。
「別に、北条が英吏より劣ってたから…とかじゃないんだからな?」
俺が少しだけムッとした顔で言うと、北条はその綺麗に整った顔立ちにある綺麗な目を見開いて俺を見てくる。
「俺の運命の人が、たまたま英吏だったの!」
うぎゃ〜!恥ずかしい。
 …俺、絶対明日、言ったコト後悔するのに。
 どうして、こんなコト言えるのかな…。興奮してる時って。
 もう、ヤケクソ!
 でも、本当、そうだなんだよ実際さ!
 俺の運命の人は英吏。
 そして…英吏の運命の人が…俺だったらいいな…って思う。
 英吏にいったら当たり前だろとか言われそうだけど、当たり前なんか存在しないよ。
 別に疑うわけじゃないけど。
「………君って子は…」
北条が俺の上に、自分の着ていた白衣手早く脱ぐと、フワリとかぶせる。
 少し大きいその白衣は、ライムっぽい柑橘系の薫りがした。
 なんだか保健室の先生って感じじゃなかったから、俺は白衣のすそに隠して少しだけ笑っちゃった。
「英吏にはもったいないよ」
「英吏が俺にもったいないんだよ」
即答すると、北条はますます苦笑した。
 ほんと、君って子はなんでそんなに純粋なんだか…。
「食べちゃいたいくらいなんだけどね、ほんとは」
そのしゃべり方があまりに大人びてる感じだったから、俺は眉と眉の間にしわをつくって警戒する。
 北条は緩めたワイシャツのボタンを戻しながら、ますます苦笑した。
「もともと強姦は趣味じゃないから、とりあえずは諦めるよ」
その言葉を素直に信じ、ココロはホッと胸をなでおろす。
 まったく、ここの教師たちは何考えてるんだかぜんっぜんわかんないんだから…。
「…ここの教師で、君のことを知ってるのは、僕と英吏だけ?」
「あ、ううん。後、料理長の京にばれて…」
俺がそこまで言うと、さすがに同じ職場で働いてるからか、何があったかは想像できたみたい。
「不用意にここを一人で歩かないほうが良いと思うんだけど…英吏にそう言われなかった?」
「…でも、京だって悪いヤツじゃない」
言いきる俺の肩を、北条は両手でポンポンと叩くと、ほっぺにチューをした。
 さすがにさっきみたいなディープキスではなかったけど…。
「何するんだよっ!」
俺は顔を真っ赤にして、北条を振りほどくと、思い切り怒鳴った。
 な、な、なんだよ〜!
 今さっき、俺は引くって言ったばっかりじゃん!
「こういうことを君にしちゃうヤツがいっぱいいるって言ってるんだよ」
…なるほど。
「……でも、なんで俺?いっぱいいるじゃん、女の子なんて」
とくにここは。
 本心でそう言ったのに、北条はニコッと悪魔な笑顔を浮かべてサラリと答えた。
「君のが欲情するんだよね」
俺は座っていたその位置から、さらに北条から離れた部屋の隅にまで拘束で移動した。
 うん、ゴキブリもびっくりの勢いで。
「俺本気で聞いたんだけどっ」
冗談でもそういうこと言うなよ〜。
 心臓に悪いって言うか、なんか、嫌だから。
 男として。
「俺も本気で言ったんだけどね…」
北条が呟くように言った。
 本当のところ、ココロは女の子なんかよりずっと魅力的で、男を誘っていた。
 容姿が女っぽいとかじゃなくて、ココロって言う人の全てがフェロモンで出来てるみたいなのだ。
 華奢なその身体を抱きしめれば、シャンプーのような清潔そうな薫りがフワリとして、理性を狂わす。
 香水にまみれた女たちを相手にしてきた英吏たちにはよっぽどこの初々しさがヒットしたってこともあるけど。
「そ・れ・よ・り」
ココロは北条によってかけられた白衣の胸元を右手で合わせて、北条に左指を突き立てた。
 人に指差しちゃいけませんって言われてたけど…今日は特別、な!
「もう、こんなことするなよっ」
こんなことってのは…つまり、こういうコトっ!
 ベッドでするような、あ〜だこ〜だだよ!
「はいはい」
残念そうに北条は口を尖らせると、全然他人事のように手をヒラヒラさせて返事をしてきた。
「まあ、でも、君もここでの生活は大変だろうから……辛くなったら保健室にお出で。相談でも…なんでも聞いてあげるよ」
北条は俺がつきたてた指を大きな手で軽く掴み、おろさせた。
 うーん…確かに。北条には全部ばれちゃってるんだし。助けてくれるっていうのはすご〜くアリガタイ申し出だよね。
 そこに他意はないのかを良く考えないのが、ココロ様。
 さっきまでの怪しい笑みじゃなくて、本当にニコっと微笑んでる北条についつい微笑み返してしまう。
「助けて…くれる…の?」
「もちろん。……僕は君の事が気に入っちゃったし…それに、面白そうだしね」
面白そう!?人の悲劇をそんな楽しそうに思わなくたっていいんじゃないか?
 女性嫌悪症で、女の側で生活するだけで失神しそうな俺なのに。
「面白くなんてない!俺は女の子が側にくるだけで気を失うんだからっ!それくらい苦手なんだ」
「へ?女の子が苦手?」
北条は何それって顔で俺を見てきた。
 ヤヴァイ…。俺って墓穴ほってんじゃん。
 うう。恥ずかしい。
 俺は北条にコトの成り行きと女性嫌悪症という自分の特異体質を説明しながら、実は北条は俺とヒトミが入れ替わった…っていう事実しかしらなかったことを理解して、再び肩が重くなった。
 でも、北条が見方についてくれたってことは、俺ちょっと嬉しいかも。
 だって、だってさ。この学校ってば、教師が全員男だっていっても、所詮生徒の方が人数多いんじゃん?
 だから、ちょっとでも心休まる場所が欲しいんだよね、俺。
 結局今のところ、頼れるのって、西園寺と英吏だけだったし…。
 なんか、弱みまで握られちゃったのは癪だけどさ。
「力になるよ」
それでも真摯な笑みをする北条をそれ以上疑えもしないし。
 これを良いって思わなきゃ損だよな。
 俺は左手をスッと英吏の前に突き出した。
「んじゃ、改めて根本ココロ…です。よろしく」
北条は俺の手を取ったはとったけど、握手はせず、そっと口付た。
「改めて、LLC女学園養護教諭北条宮だよ。ミヤって呼んでくれ」
耳まで真っ赤にした顔を背けて、手を思いきり引きぬく。
 どうして、どうして、どうして!
 ここの男どもはこんなハズカシイことをサラリとやってのけるんだよぉ〜!
 まったく……。
「ミヤたちってさ…」
宮達ってどこでそんなの習ったのさ、そう聞こうとした瞬間、俺は騒がしくなってきた廊下の音に気付いた。
 もう朝ご飯終わったのかな?
 うわーん、そう思ったらお腹が急にすいて来ちゃったじゃん。
 俺、朝ご飯も抜きなわけ?
 京に頼んでまた作ってもらっちゃおうかな…。
 俺がそう思った瞬間、北条は俺を抱きしめた。
「へ、え、ええ!?」
俺が上ずった声を出したのに、北条はただ俺の首に顔を埋め、抱きしめてるだけだ。
 ただ……一応拒否はしてみるけど、さっき見方になってくれるって言った分けだし、何かあったのかなって思って、俺はジタバタとしてしまう。
「まったく、あいつが通ると静かな場所もうるさくなる…な」
うなじに北条の熱い吐息が撫でるように走る。
「へ、あの、北……宮?」
俺が大きな声で名前を呼んだ瞬間、ドアが恐ろしいくらい大きな音を出して開いた。
 カーテンが邪魔して姿が見えないけど…。
 その音で、俺は西園寺が入ってきたんじゃないってわかった。
 その音で、宮はあの人が入ってきたんだってわかったみたいだった。
 ううん、正確には宮はもっともっと前から気付いてたらしいんだけど。
「ココロっ」
ものすごく怒気まじりで名前を呼ばれても、あの声だって思うと俺はついドキンとしちゃう。
 でも、現在の状況と、自分たちの服装の乱れ具合について思いだし、俺は慌ててカーテンを越えてこようとするその声の主を静止させた。
「だ、だめ!入ってきちゃだめ!」
ど、ど、どうしよう!
 俺、服乱れてて着替えてなんからんないし…。それに、なんでこんなとこに宮がいるかってのも説明しにくいし…。
 まさか素直に言えるわけないし!
 え、え、えーと、俺どうしよう!
「………入っておいでよ、英吏」
俺が冷や汗交じりで部屋の中を行き来してたのに、俺の右斜め上から恐ろしい爆弾が落とされた。
 ああ!神様!俺を今ものすご〜く小さくして!ベッドの下に潜るからさ。
 ベッドの下の五センチない隙間を眺めながら、俺は現実逃避し始める。
 だって、だって、カーテン越しの人は無言のまま、その部屋をわけている…現在は部屋を隠しているカーテンをめくったんだ!
「……思ったより遅かったね」
宮の声が右から左に流れる。
 女が側にいないのに、初めて倒れそうになってる。
「………どこかの誰かさんのおかげで、乙女達が離してくれなくてね」
いつもなら耳に響く声も、頭の中で反すうするばかりだ。
 怖くて…顔が見れないんだよ。
 ほんとに。
「ああ、ちょっと噂を流しといたから…。本命が出来たらしい…って。さすが天下の叶先生様に恋人ができたと聞いたら、女の子とたちは離してくれなかったでしょう」
「ああ。けど……悪い予感もしたし…ね」
視線がコチラに向いたのがビシビシ伝わってくる。
「さあ、説明してもらおうか、ココロ」
声はまったく笑ってない。
「英吏…」
俺は一時間ぶりにみた恋人は、やっぱり格好良かった。
 めちゃくちゃ…怒ってるんだけどさ。
 はう〜。
「俺が納得するまで、君は個人授業だから…ね?」
ああ、アーメン!

続く。
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